字画も少なく、しょっちゅう⽬にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか? 

サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を⾒ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。

「脳トレ漢字」今回は、「石蕗」をご紹介します。秋の夜長を楽しみながら漢字への造詣を深めてみてください。

「石蕗」は何と読む?

「石蕗」の読み方をご存じでしょうか?

正解は……
「つわぶき」です。

おそらく、音で「ツワブキ」と聞けば、「ああ、あの花か」と思い当たる方も多いのではないでしょうか。また、略して「つわ」と呼ぶこともあります。俳句などでは「つわの花」といった形で詠まれることも多いですね。日本各地の海岸近くや山地の日陰に自生し、艶のある丸い葉と、10月から12月にかけて咲く黄色い花が特徴です。

「石蕗」の由来

では、なぜ「ツワブキ」を「石蕗」と書くのでしょうか?

これは、「石」が岩場など石が多い場所に自生する性質、「蕗」は葉の形がフキ(蕗)に似ていることに由来しています 。

名前の由来には諸説ありますが、最も有力なのは葉に光沢があるため「艶葉蕗」(つやはぶき)と呼ばれていたものが「ツワブキ」に訛ったという説です 。

また、「厚葉蕗」(あつはぶき)、つまり葉が厚いことから名付けられたともいわれています。

庭園に欠かせない日本の植物

夏の厳しい暑さや冬の寒さ。「石蕗」はそうした異常気象の影響を受けにくく、例年通り晩秋には花を咲かせます。そのため、冬支度を始める庭先や寺社境内で、黄色い花がひときわ鮮やかに目を引きます。黄色は元来、太陽や希望を象徴する色。枯れ葉や北風が目立ち始める季節にあって、その明るさは人の心を温める存在です。

このように、物寂しい冬の景色に彩りを添える「石蕗」は、厳しい季節を乗り越える人々の心に、ささやかな慰めと希望を与えてきたのかもしれません。花言葉に「謙遜」や「困難に負けない」といった言葉があるのも、こうした背景を思うと深く頷けます。

ところで、この石蕗、実は観賞用だけでなく、食用にもなることをご存じでしたか? フキの仲間というだけあって、その葉柄(ようへい)、つまり葉と茎をつなぐ部分を佃煮などにして食べることができます。

***

いかがでしたか? 今回の「石蕗」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 散歩の途中、黄色い花を見かけたら、「ああ、石蕗が咲いているな」と思い出していただけたら嬉しく思います。

来週もお楽しみに。

●執筆/武田さゆり

武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。

●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2025年
12月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店