写真・文/矢崎海里

鉄はエネルギー産生などに不可欠な栄養素です。
ミネラルの中でも吸収されにくく、意識して摂らないと不足しがちに。
サプリメントなどで補っている、という方もいるのではないでしょうか。
鉄を意識して摂らなければいけないのは女性だけではありません。
男性も鉄不足によりさまざまな不調をきたすため、日々コツコツ取り入れたい栄養素です。
今回は性別、年代関係なく重要な栄養素、鉄の役割や食材、おすすめレシピなどをご紹介します。
鉄の役割
鉄は体内で主に血液や筋肉に存在しています。
赤血球中のヘモグロビンの構成成分として、酸素を全身に供給したり、不要な二酸化炭素を回収して体外に排出させたりします。
妊娠・授乳中や月経のある女性は鉄の損失が大きいため、別途付加量がありますが、成人男女の鉄の推奨量は6.0~7.5mgです。
鉄が不足するとこんな不調が起こることも
鉄不足によって起こる代表的な症状が貧血です。
貧血というと「立ちくらみ」がぱっと頭に浮かぶかと思いますが、その手前の「だるい」「疲れやすい」も鉄不足が原因の場合があります。
鉄が不足すると体内で酸素の運搬がうまくいかず、酸欠状態になります。
そのためだるさを感じたり、疲れやすくなったり、息切れが気になったり、集中力の低下などを感じやすくなります。
貧血は鉄だけでなく、他の栄養素の不足が原因になることも。
気になる症状がある方は、医療機関で相談してみてくださいね。
鉄を多く含む食品
鉄には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。
ヘム鉄はレバーや牛の赤身肉、魚の血合い部分(かつお、まぐろ)、あさりなどに多く含まれていて、比較的吸収されやすい一方、毎日の食事に取り入れるには少し工夫が必要な食品もあります。
非ヘム鉄は小松菜などの野菜、納豆などの大豆製品、海苔などの海藻類などに多く含まれていて、ヘム鉄に比べて吸収率は低いですが、日々取り入れやすい食品が多いのが特徴です。
非ヘム鉄はビタミンCやクエン酸と一緒に摂ることで吸収率がアップします。
今回は鉄をちょい足しできる、おすすめレシピをご紹介します。
電子レンジで作る きなこカスタードレーズンパン

【材料】(2人分)
レーズンロールパン 4個
卵 1/2個分
砂糖 大さじ1と1/2
薄力粉 大さじ1
牛乳 100ml
きなこ 大さじ1
【作り方】
1.耐熱ボウルに卵、砂糖を入れて泡だて器で優しく混ぜる。

2.ふるった薄力粉を入れて混ぜたら、牛乳を少しずつ加えながら混ぜる。

3.600Wの電子レンジで2分加熱し、一度取り出して混ぜる。同様に1分加熱し、再度取り出してきなこを加えよく混ぜる。
4.再度30秒加熱し、平らなバットの上に流して上からラップをぴったりかける。粗熱が取れたら冷蔵庫でしっかり冷やす。

5.レーズンロールパンに切れ目を入れ、4を1/4量挟んで完成。
朝ごはんにぴったり、市販のレーズンロールパンと電子レンジで作れるきなこカスタードクリームを組み合わせたレシピです。
鉄を含む食品として、レーズン、きなこ、卵を使用しています。
非ヘム鉄が多いため、一緒にキウイやいちごなど、ビタミンCを含むフルーツを組み合わせることで、吸収率がアップします。
このレシピ1食分で補える鉄は1mg(一日の推奨量の15%程度)ですが、レバーやあさりなど、毎日取り入れるのが難しく、レシピに悩んでしまう方におすすめです。
甘いもので鉄が補えるのも嬉しいですよね。
きなこカスタードクリームは、ほかにもサンドイッチやスイーツなどにも活用できます。
カスタードクリームは卵1個(レシピの倍量)が作りやすいです。
清潔な容器に入れれば、冷蔵庫で3日程度保存できます。
カスタードは加熱後、平らなバットに流して速やかにしっかり冷やすのがポイントです。
加熱後すぐは少し緩いかな? と感じても、冷やすことでちょうどいいかたさになります。
エネルギー:267kcal
食塩相当量:0.7g
鉄:1.0mg
* * *
食材から摂る以外にも、鉄瓶で沸かしたお湯を飲む、鉄フライパンで調理するなども鉄が溶け出し、微量ですが鉄のちょい足しになります。
鉄の必要性をしっかり理解して、日々コツコツ取り入れていきましょう。
文/矢崎海里(やざき・かいり)
管理栄養士やフードスペシャリストなどの資格を生かし、企業で働く傍ら、Webメディアでも活動。おいしく食べて健康になれるごはんを研究中。
