
物価高は続くのに給料は思ったほど上がらない。さらに税負担が年々増やされるなか、自分たちの生活を守るためにできることはあるのでしょうか。
公認会計士で税理士の永江将典さんが監修した『税金をできるだけゼロに近づける本』(宝島社)では、ムダな税金を払わず勝ち組を目指す方法がわかりやすく紹介されています。目指すは税金ゼロ! 使える節約技をすべて使ってムダな税金をゼロに近づけましょう。
今回は、家を相続する際や、相続した遺産の売却時の注意点、さらには相続対策に使える贈与制度をご紹介。ちょっとした違いでも、かかってくる税金の額が大きく変わります。
監修/永江将典
亡くなる直前の不動産売却はご法度
現金にすると相続税が増える
相続人が遺産を分けやすいように、不動産を売却して現金にしておこうと考える人もいるかもしれません。しかし、相続で財産を渡すときは、現金よりも不動産のほうが節税になります。
たとえば5,000万円の現金があれば、評価額も5,000万円として相続税が計算されます。一方、不動産の場合は、売却すれば5,000万円になるものでも、不動産のまま相続する場合は3,500万円程度に低く評価されるため、相続したあとで売却したほうが節税になります。
●現金で相続
現金は相続する5,000万円全額に相続税がかかる

●不動産で相続
不動産は土地なら購入価格の8割、建物は5~6割程度で評価されるため、評価額は現金より安くなる

相続した不動産や金を売るときは買ったときの金額がわからないと損
相続税が安くすんだ場合でも、油断できないのは、相続した財産を売却したときにかかる税金(譲渡所得)です。金や不動産を相続したときは、それを買ったときの価格がわかっているどうかでかかる税金が変わります。
というのも、譲渡所得の計算では、必要経費として買ったときにかかった費用を控除できます。しかし、取得費用がわからない場合は、売った金額の5%相当しか控除できません。金や不動産を遺産として遺す場合は、購入したとき
の明細書などを取っておくことが鉄則です。
●相続した財産を売却するときは所得税(譲渡所得)がかかる

配偶者・子・孫に非課税で財産を渡せる制度を網羅する
暦年贈与や相続時精算課税の他にも、配偶者・子・孫などに財産を渡していくと節税になる制度がいくつかあります。財産が多く、相続税がかかりそうだと思うなら、生前贈与の非課税枠をめいっぱい使いましょう。
贈与をするなら、元気なうちがチャンスです。なぜなら、生前贈与も遺言書作成も、認知症になるとできなくなってしまいます。元気で判断能力があるうちに、計画的に贈与しましょう。
●相続対策にも使える贈与制度

上の図で紹介している制度は、財産を渡す相手と財産の使い道が限定されていますが、非課税枠が大きく節税効果が高くなります。
配偶者は、相続税でも大きな控除があります。しかし、たとえば、生前に夫が妻に自宅や自宅を取得するためのお金を贈与しておけば、子どもの相続税を減らす効果があります。
また、住宅取得資金や教育資金、結婚・子育て資金は、マイホーム取得や進学などお金がかかるタイミングで贈与
すれば、子どもや孫も助かるでしょう。
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税金をできるだけゼロに近づける本
監修/永江将典
宝島社 1,210円(税込)
永江将典
公認会計士・税理士。4つの会社を経営する複業オーナー経営者。監査法人トーマツで上場企業の監査や株式公開支援業務を担当。トヨタ自動車に転職し経理部に勤めるも、やりがいを見つけられず転職。その後起業し、収入が激減するも、多数の億万長者からお金を稼ぐ極意を学び、YouTubeで1億円を稼ぎ、各種事業や不動産業を開始。『トヨタを辞めて時給15円に堕ち、シンガポールで覚醒し、40歳でFIREした話。』(サンライズパブリッシング)、『税金でこれ以上損をしない方法』(翔泳社)などの著書で、お金を稼ぐことや節税の大切さを訴えている。
