文・アンヌ遙香

北海道の仏像に特化したこちらのコラム。

仏像と言いながらも個人的に巨大仏を愛して止まない私としては、札幌白石に薬師大仏さまが鎮座しているという情報を耳にしたからには、見逃すわけにいけません。

ただ1つ、大きな問題が…やはり雪の問題。

水分量が少ないさらさらのパウダースノーをイメージされる方が殆どかと思いますが、私がこちらの札幌薬師大仏及びそちらを建立された大昌寺を取材したのは雪の降り始めの非常に天候が荒れた日。

降る雪は水分を大量に含み、ダウンには水と化した雪がガンガン染みてくる……皆さんが理想とするパウダースノーとは真逆のもの。

バス停からお寺までの道のりをスマホで検索しようとするものならば、画面が雪で水没を始める始末。
そんな非常に厳しい天候状態の日に大仏様にお目にかかることになった私。

ただ、そんな私の雪への苦悩も吹き飛ぶほどの迫力と清浄さに満ち満ちたお姿! 白い雪がどんどんと降り積もる様子にも感服してしまったのでした。こんな立派な如来様が札幌にいらしたなんて!

実はこちらの札幌薬師大仏、少なくとも私の友人は誰もその存在を知らなかったのです。
私が写真を見せたところ、こんなに立派な大仏さまが札幌に!? と多くの友人たちが口を揃えておりました。そうなんですよ! 改めて本当に素晴らしい仏像及び大仏さまが北海道にはたくさんいらっしゃるんですよ!!

国や人種や宗教を超えて、誰もが合掌

礼拝できる大仏をぜひ建立したいと考えていた大昌寺の佐藤照禅住職。平成15年に薬師大仏建立を発願。
その際には、なんとあの奈良国立博物館元館長の西川杏太郎氏などに監修をしていただき、この大仏様が生まれたとのことでした。

北海道で初めての青銅製大仏とのことでしたが、なんと山形市の鋳造所から、一度かたち造ったものを分割して運ばれたのちに再度造立されたといいます。

かつて札幌南区石山にある佛願寺の涅槃大仏について記したことが過去記事(大空の下にゆったりと横たわる「佛願寺 札幌涅槃大仏」)でありますが、そちらはもともと函館にあったものを解体して札幌まで運んだという背景がありました。

こちらも山形から運んだというストーリーがあったということ。北海道で大仏を建立するというのは並大抵のことでは無いのです。

ツヤっと輝くお姿で地域住民の生活を見つめ続ける大昌寺札幌薬師大仏ですが、印象的だったのは、この大仏様の後ろが河川敷になっていること。
ワンチャンのお散歩などをされる方が毎日毎日朝晩とこの大仏様を眺めることができるのです! そんな贅沢なことってない!!

私もゴールデンレトリバーを飼っており、朝晩のお散歩は欠かせませんが、ワンチャンのお散歩コースにこれだけ立派な大仏様がいらっしゃったらどれだけ胸がときめくか!

毎日毎日そのご利益を一心に受けながらお散歩できるのです。そんな幸せなことがあるでしょうか? 

総重量25トン、総高は13メートル70センチの大仏様を背にし、道路を挟んで向かい側の本堂にお邪魔をすれば、そちらにはご本尊の釈迦如来様が。雪まみれになりながらも、大興奮しながら薬師大仏様を撮影した私。

実はご案内いただいた方からのお言葉で気づいたのですが、釈迦如来様とちょうど向かい合うような形で、東の方角に大仏様は建立されていたのでした。

これは薬師如来様が東方にある浄土に住むとされているためです。

ただ、びっしり真正面だとどちらの仏様にも背をむけてしまうことから、少し中央からはずらした位置につくられているようです。確かに中央から少しずれているところが直接目にするとよくわかります。

外でじっと眺めるのもいいですが、本堂からこの関係性を見比べてみるのも良いのでは。

大仏様と大雪の興奮が冷めやらぬ中、バスで白石駅前に戻った私。

吹雪の中バスを待つという行為もこれは非常に大変なこと。暖かな車内に身を滑らせた瞬間どれだけほっとしたか。

白石駅前に戻った私はまっすぐにきのとや本店まで向かったのでした。

北海道を代表するスイーツショップである「きのとや」。

あれだけ雪で体が冷えたはずなのに、なぜかいつでも、いや、むしろ冬ほどソフトクリームが食べたくなるのが道民の特性。

私は故郷である札幌に拠点を今年移しましたが、なんだかんだ週に1回は様々なお店でソフトクリームを食べている気がします。

「きのとや」の極上牛乳ソフトは、フレッシュミルクの濃厚な味わいに北海道産マスカルポーネを隠し味に加え、より一層ミルク感が感じられるコクと深みのある“濃厚仕立て”。もちっとした濃密な食感となめらかな口当たり……ああ書いているだけで涎が。

カフェの大きな窓ごしに見える中庭にはもみの木が植わっていて、まさしく北海道らしさ満点。

平日のお昼過ぎでしたが、ひっきりなしにお客さんが訪れ、札幌市民から深く愛されていることがよくわかりました。白石、あなたの札幌観光プランに是非加えてみては?

アンヌ 遙香(あんぬ・はるか)
元TBSアナウンサー(小林悠名義)。現在は札幌中心にフリーアナウンサー、文筆業、美容やアロマテラピー、話し方講座などのスクール講師として活動。出演番組:HBC北海道放送の情報番組「今日ドキッ!」のコメンテーター等。
Instagram:@aromatherapyanne

 

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