文・アンヌ遙香

不動産大手が調査・集計している北海道版「街の幸福度ランキング」。毎年恒例のランキングとのことで、私がコメンテーターを務めさせていただいている北海道 HBCテレビ夕方の情報番組『今日ドキッ!』でも特集が組まれていました。
この“幸福度”とは「自分が幸せかどうか?」を10段階で評価してもらい、その回答の平均を数値化したもの。 

1位 東神楽町、2位 東川町、3位 安平町などと続いておりまして、ぜひご興味をいただかれた方はHBCの公式サイトに行っていただければ内訳を公表しておりますが、私が今回注目したいのは10位の音更町(おとふけちょう)。

音更町は、北海道十勝総合振興局にある町。道内町村の中では最も人口の多い町として知られています。広大な農地や牧場などが広がり、いわゆる北海道らしい雄大な景色が広がっている一方で、若いファミリーの移住なども多くあり、帯広市のベッドタウン的な存在としても注目されています。

そんな中、音更町で避けて通れないのが「十勝慈母観音」。十勝川温泉の旅館群を横目に車を走らせていると、こんもりとしげる山の稜線に急遽金色の何かが横目に入ります。

ん? あれはなんだろうとその光る部分に目を凝らすうちに……実はそれは、金色に輝く巨大な観音様がニョッキリ木々の間から顔を覗かせていたのだという事実に気づきます。

北海道ならではの雄大な大自然と、金色の大観音様のコントラスト。このスケールの大きさ、正しく北海道らしさがつまった観音様であると言えるでしょう。

十勝慈母観音については、説明文が現地看板に表記されておりました。十勝開拓の先人の霊を慰めると共に、世相の立直しにと、何れの宗派にも属しない吉野山金峯山寺の別院として慈母観音像を建立したとのこと。

青少年の健全育成や地域社会の平和を守る存在としても、山の頂からこの音更町を見下ろしていると言うのです。全長25メートルほど。見上げるとその大きさに圧倒されます。
穏やかな顔つきに、そっと手を伸ばす赤ちゃんの可愛らしさ。やっぱり「仏像を見上げる」スタイルって圧巻だなとしみじみ。

寺務所のようなものがありますが、無人。

真っ赤な鳥居と雄大な大自然と広々とした空のコントラストが何とも言えず、すがすがしくあります。

周囲からは鳥の鳴き声しか聞こえてきません。
慈母観音の足元には、小さなお社のようなものがいくつか並んでいるところがあり、覗き込んでみると、生まれ年の干支ごとの守り本尊である文殊菩薩や阿弥陀如来などが祀られていました。

印象的だったのは全体的にとてもピカピカしていて、美しいということ。無人だという割には大変真新しい印象を受けました。

このたび、こちらの慈母観音を現在管理されているという地元の宮坂建設工業に問い合わせをしたところ、なんと2023年に数千万円かけて全面的にきれいに塗り直しをされたということでした!! 何という愛されぶり!! なかには、こちらの観音様をぜひ音更町の文化遺産のような存在にできたらいいのに……という声も一部からは上がっているそう。

宮坂建設工業のオーナーである宮坂家は、長野県出身。善光寺の奥の院が菩提寺であり、善光寺といえばいずれの宗派にも属さないとのことですが、慈母観音寺もいずれの宗派にも属していない、という共通点をご縁と感じたとのこと。再興に尽力されているそうです。

こちらのコラムでは、北海道の仏像というテーマで連載をさせていただいておりますが、正しく広大な自然の中にたたずむ光輝く巨大仏というコンセプトは、私が理想とするもの。

こちらに到達するには、やはりマイカーもしくはレンタカーの使用が不可欠ではとも思いますが、十勝川温泉に宿を取り、この観音様まで歩いてお参りするというのも良いのではないでしょうか。

ただ、雪が降ってしまうと道も閉ざされてしまいますので、遠くからではなく、足元から本格的にお目にかかりたい!! という方は初夏などに足を運ばれることをおすすめします。

そして外せないグルメ情報。

音更町を代表するスイーツの殿堂と言えば、「柳月スイートピア・ガーデン店」。白樺の木肌をイメージした、バウムクーヘン「三方六」は有名。
その柳月がまるで宮殿のように立派な店舗をここ音更町で展開させているのです。

どれをいただいても間違いがない柳月のお菓子。

きちんとポイントカードを作成した上で大量に買い込むという楽しみ方もありますし、ガーデンカフェでしか味わうことができない、「きなごろもソフト」なるものをいただいて帰るのもおすすめ。

きな粉が香るソフトクリームに、柔らかなお餅(きなごろも)、黒蜜ソースなどがトッピングされています。十勝小豆のつぶ餡がたっぷり入って、満足度が高いこちらのデザート。ここに来ないと食べられないというスペシャル感が最高です。

食べ物のおいしさに雄大な大地、木々から顔をのぞかせる金色の観音様……音更町は、まさに幸福の都と言っても過言ではないかもしれません。

アンヌ 遙香(あんぬ・はるか)
元TBSアナウンサー(小林悠名義)。現在は札幌中心にフリーアナウンサー、文筆業、美容やアロマテラピー、話し方講座などのスクール講師として活動。出演番組:HBC北海道放送の情報番組「今日ドキッ!」のコメンテーター等。
Instagram:@aromatherapyanne

 

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