字画も少なく、しょっちゅう⽬にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか⼼配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか? サライ世代ともなりますと、いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。
簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の記事を読みながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第213回は、「忖度」をご紹介します。2017年に「現代用語の基礎知識選 2017ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれた、「忖度」。誰でも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「忖度」とは何とよむ?
「忖度」の読み方をご存知でしょうか? 「すんたく」ではなく……
正解は……
「そんたく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「他人の心をおしはかること。また、おしはかって相手に配慮すること。」と説明されています。「相手の意向を忖度する。」「時には忖度することも大切だ。」などのように使われることが多いです。
2017年に森友学園をめぐる問題で話題になった、「忖度」。この一件があってか、よくない意味だと勘違いされることもしばしばですが、本来は「思いやり」や「配慮」という意味を持つ言葉なので、悪い意味ではないといえます。ただ、使用する際には注意が必要かもしれません。
また、同じ意味で「忖度(じゅんど)」と読むこともあるそうです。
「忖度」の漢字の由来は?
では、「忖度」の成り立ちについて見ていきましょう。まず、「忖」という漢字には心に関する部首・「りっしんべん」が使われており、「推し量る」「推測する」という意味を持ちます。そして、「度」は手でものを図る様子を表しているそうです。
そこから派生して「考える」「推測する」という意味を持つようになり、「忖度」という表現が生まれたと考えることができます。
流行語大賞で振り返る時代
「現代用語の基礎知識選 2017ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれた、「忖度」。1984年から始まった同賞ですが、振り返ってみると政治やスポーツ、自然災害など、その当時に起こった出来事を思い返すことができます。
最近のものだと、野球の村上宗隆選手を指す「村神様」(2022年)や、大谷翔平選手に関する「リアル二刀流」(2021年)などが記憶に新しいかもしれません。
スポーツに関連する言葉は数多くノミネートされており、アテネオリンピックで金メダルを獲得した競泳・北島康介選手の「チョー気持ちいい」(2004年)や、サッカーワールドカップ日韓大会が開催された2002年の「W杯(中津江村)」などが挙げられます。
また、自然災害に関連する言葉も多く、長崎県の雲仙普賢岳が噴火した1991年には「火砕流(かさいりゅう)」が新語部門・金賞に選ばれており、東日本大震災が起こった2011年は「絆」や「3.11」など、震災に関する言葉がトップテンに並びました。
ほかにも、空前の大ブームとなった「たまごっち」(1997年)や、俳優・加藤清史郎さんのCMで話題になった「こども店長」(2009年)など、エンタメ関連の言葉も多くノミネートされており、当時の流行を振り返ることができます。
***
いかがでしたか? 今回の「忖度」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? その年によって様相が大きく変わる「新語・流行語大賞」。後から振り返ると、当時のことを懐かしく思い出すことができるのではないでしょうか?
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB
参考資料/『デジタル大辞泉』(小学館)
『日本大百科全書』(小学館)
「NHK公式ホームページ」