「パーソナルスペース」という言葉をご存じでしょうか? 良好な人間関係を築くための重要な要素の1つです。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」にて、パーソナルスペースを理解し、知見を得ましょう。

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「パーソナルスペース」とは、他人に侵入されると不快に感じる空間や距離感の範囲のことです。良好な人間関係を築くには、パーソナルスペースを理解することが重要です。

パーソナルスペースの概要や具体的な距離、男女や文化によるパーソナルスペースの違い、パーソナルスペースをビジネスに活かす方法を解説します。

パーソナルスペースとは他人に侵入されると不快に感じる空間のこと

パーソナルスペースは、アメリカの文化人類学者であるエドワード・T・ホールが提唱した概念です。

他人にそれ以上近づかれると不快に感じる空間のことを指しています。例えるなら、目に見えない心理的な縄張りのようなものといえるでしょう。人は無意識のうちに快適な空間を保とうとして、他人との間に距離をとっています。

親しい相手であればパーソナルスペースは狭く、親密でない相手には広く確保するなど、相手との関係性や、人それぞれ持つ特性によってもパーソナルスペースは異なります。

パーソナルスペースの侵害は、相手にストレスを与えるため人間関係構築の上で注意したいポイントです。

パーソナルスペースの種類

パーソナルスペースは、大きく分けて「公衆距離」「社会距離」「個体距離」「密接距離」の4つに分類できます。

それぞれについて詳しく解説します。

公衆距離:360cm以上

面識のない相手との適切な距離感は360cm以上とされ、公衆距離と呼ばれています。講習会やセミナー、演説などにおける講演者から参加者までの距離感で、公的な場面でよく見られる距離です。

これくらいの距離があればまったく知らない相手と接しても、不安を感じにくいでしょう。相手の顔や表情がよく見えないため、個人的なやりとりはできない距離でもあります。

社会距離:120~360cm

手を伸ばしても届かないくらいの120~360cm程度の距離を、社会距離と呼びます。まったく知らないわけではないもののまだあまり親しくない人や、プライベートな領域に踏み込まれたくない人との距離として、ちょうど良いといえます。

会社の上司との会話や取引先と商談などでは、自然とこれくらいの距離をとっているのではないでしょうか。ある程度はっきり発声しなければならないですが、会話しやすい距離です。

個体距離:45~120cm

友人や比較的親しい人とのコミュニケーションで用いられる距離は、45~120cmといわれ、個体距離といいます。軽いボディタッチ程度の身体的接触もできる距離です。

互いの動作や表情をしっかり把握でき、親しい人であれば心地良い距離感でもあります。ただし、異性の場合は警戒される可能性もあるため注意しましょう。

密接距離:45cm以下

恋人や配偶者、親子など極めて親しい間柄ではパーソナルスペースは45cm以下といわれます。これを密接距離と呼びます。身体的なスキンシップも簡単にできる距離です。

親しい人がこの距離にいると心地良さや安心を感じますが、この距離感を許容できる相手はごく少数で、親密でない相手がこの距離感にいると強い不快感を覚えます。

人によって異なるパーソナルスペース

パーソナルスペースは相手との関係性によって大きく4つに分かれますが、それ以外にも性別や国や文化、年齢によっても異なる傾向にあります。違いを見ていきましょう。

男女による違い

パーソナルスペースは、性別によっても異なります。

一般的には、男性の方が女性よりパーソナルスペースは広いというのが定説です。男性の場合、パーソナルスペースは前方向に広い楕円形で、女性は自分を中心とした円形をしているといわれます。

そのため、男性は前から向かってくる人を警戒する傾向に。男女の違いも意識しつつ、適切な距離感をとるよう心がけましょう。

国や文化による違い

国や文化の違いもパーソナルスペースに影響します。

南米や南欧、中東に住む人はパーソナルスペースが狭く、アジア・北米・北欧に住む人は広いといわれています。気候が温暖なエリアに住む人はパーソナルスペースが狭く、寒冷なエリア在住の人は広いという説も。

親しみを込めてスキンシップを頻繁にとる文化がある国は、概ねパーソナルスペースが狭い傾向にあるようです。

年齢による違い

パーソナルスペースは、年齢によっても差があります。

子どもは警戒心が弱いことから分かるように、子どものパーソナルスペースは大人より狭いのが一般的です。年齢が低ければ低いほどパーソナルスペースは狭くなりますが、12歳頃から徐々に広げて、ピークは40歳頃です。その後はまた、徐々に狭くなっていきます。

パーソナルスペースが広い人・狭い人の特徴と接し方

パーソナルスペースは個人によって異なるため、狭い人もいれば広い人もいます。

それぞれの特性を持つ人には、性格に特徴が見られます。特徴や接し方の注意点を知っておくと、相手との距離を適切にとれて良好な関係が築けるでしょう。

パーソナルスペースが広い人

パーソナルスペースが広い人は、他人との距離感が遠い人です。コミュニケーションをとるのに苦労しやすいこともあるでしょう。

パーソナルスペースが広い人の性格の特徴や接し方のコツを紹介します。

性格の特徴

パーソナルスペースが広い人は、内向的な性格でこだわりが強く繊細な人が多いといわれています。警戒心が強めで傷つきやすく、ネガティブ思考の傾向も。

パーソナルスペースが広い分、自分のスペースを侵されやすくペースを乱されがちで、集団行動を苦手に思う特徴も見られます。ひとりの時間を大切にする人が多いでしょう。

繊細ゆえ、他人に対して細やかな気遣いができ、思いやりを持って接することができる人で、他人と打ち解けるまで時間がかかりやすい傾向が見られます。

接し方のコツ

広いパーソナルスペースを持つ人と接する際には、適切な距離を保つようにしてください。警戒心が強いため、いきなりなれなれしくするのは不快感を与えてしまいます。もちろん、身体的な接触も避けます。

相手のプライバシーと個人的な空間を尊重して、誠実な態度で顔を合わせて話す機会を少しずつ増やして警戒心を解いてから距離を縮めましょう。

パーソナルスペースが狭い人

パーソナルスペースが狭い人は、他人との距離感が近い人といえます。誰とでもすぐに仲良くなれる傾向があります。

特徴と接し方のコツを確認しましょう。

性格の特徴

パーソナルスペースが狭い人は、外交的で誰とでもフレンドリーに接してポジティブな人が多いようです。

意識が外へ向いているため好奇心も旺盛で、多様な友人が多いという特徴も持っています。自分に自信があり、自分の快適なスペースをうまく確保できるので集団行動が苦ではない人も少なくありません。ただし、やや鈍感な面があり、細やかな気遣いは苦手とします。

パーソナルスペースが狭いがゆえに、他人のパーソナルスペースに侵入しやすい傾向が見られます。

接し方のコツ

パーソナルスペースが狭い人は、他人との距離が近いことが心地良く、頻繁なコミュニケーションや接触も好む傾向です。ボディタッチや身振り手振りが多いので、オープンなボディランゲージを使うと良いでしょう。

パーソナルスペースが狭い人と接する際は、意識的に距離を縮めて接することで親密な関係を築きやすくなります。ただし、パーソナルスペースが狭い人と接する時は、自分がちょうど良いパーソナルスペースを確保してコミュニケーションをとることが大切。

特に自分のパーソナルスペースが広い人は、物理的にも精神的にも相手との距離をとる必要があります。

パーソナルスペースの侵害がもたらす悪影響

パーソナルスペースを侵害されると、人は不快を覚えストレスを感じます。これは、パーソナルスペースに侵入されることで自己の領域を制御できない、自由な行動を制約されたと感じてしまうからです。

親しくない相手なら、勝手にパーソナルスペースに踏み込まれることで相手に苦手意識を持つ人もいます。相手のパーソナルスペースに配慮しながら、距離を縮めましょう。

パーソナルスペースをビジネスに活用する方法

パーソナルスペースを保つことは、日常生活だけでなくビジネスの上でも重要です。パーソナルスペースを意識して相手と距離のとり方を変えることで、職場や商談などのビジネスシーンで活用可能になります。

シーン別のパーソナルスペースの活用方法を紹介します。

リーダーシップを取りたい場合は上座に距離をとって座る

リーダーシップを取りたいなら、あえて相手と120cm以上の距離をとって座ります。席の配置も重要で、角テーブルの場合は上座に座ると良いでしょう。

ほど良い緊張感を生んで、リーダーとメンバーとの境界を感じさせリーダーシップが取りやすくなります。

チームワークを構築したい場合は横向きに並んで座る

チームワークを構築したいなら、対面ではなく横向きに並んで座ってみてください。

同じ方向を向くことで、同じ目的を共有する仲間意識を醸成できます。親しい関係を育む45~120cmの個体距離が適しています。

相手と距離を縮めたい場合は対角線上に座る

相手との距離を縮めたいなら、テーブルの角を利用して直角に座り、雑談を交えながら話すと良いでしょう。警戒感を与えず、なおかつ遠すぎない120cmくらいの距離がおすすめです。

対角線上に座るとお互いの視線がぶつかりにくいため、緊張感が和らぎます。パーソナルスペースを無理なく縮められ、商談の場面では相手の警戒心を解く座り方です。

相手を説得したい場合は正面に座る

相手を説得するために議論を行いたい場合は、テーブルをはさんで真正面に座ることが有効です。正面に向き合って座ることで、ある程度の緊張感が生まれます。距離は表情を読みとれて視線が合う120cm以下が良いでしょう。

適切なパーソナルスペースを知り相手との距離を縮めよう

快適な他人との距離感を保つパーソナルスペースは、関係性やその人の持つ性格、背景によって異なります。相手にとって心理的な心地良さを感じられる距離感を見極めて、慎重に相手との距離を詰めましょう。

パーソナルスペースの特性を理解してビジネスシーンで応用することで、うまくコミュニケーションを図れるかもしれません。

【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
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