多忙な名医が長年続けるストレスフリー習慣
「医者の不養生」とは、もはや過去の話。
医療の逼迫や健康意識の高まりによって、多忙を極める名医たち。
自身の体調はもちろん、高い業務パフォーマンスを発揮するために、どんな「健康術」を実践しているのでしょうか。
登場する5人は、世界最新の医療データやエビデンスなどの「情報」に明るいだけでなく、患者や相談者らに日々接しており、「臨床経験」も豊富。10万部を突破するベストセラーも多数生み出し、健康増進に関心を持つ人たちのニーズも熟知しています。
共通するのは、時間もお金もかけず、無理なく負担なく「ほどほど」にできる方法を、長きにわたる「習慣」として、コツコツ実践していること。
今回は、「自律神経」の名医、小林弘幸先生の健康術を紹介します。
文/小林弘幸(「自律神経」の名医)
すぐに実践できる自律神経の整え方
人間は社会的生き物であり、外に出たり、人々と関わったりする中で心身のバランスを取っています。しかし、コロナ禍以降、私たちの生活様式は急激な変更を余儀なくされました。長い閉じこもり生活は、ボディブローのように効いて、今後、「コロナうつ」が増えることが予想されます。
実は、私自身も一時期、美しいものを美しいとさえ思えなくなっていた時期がありました。自分の感性がおかしくなっていることに危機感を覚えた私は、意識的にあらゆるものを見つめ、「きれいだな」「素敵だな」と感じたら、写真を撮ることにしました。被写体はなんでもいいのですが、1日1枚スマホで撮影し、インスタグラム(写真や動画を無料で共有できるサービス)に公開します。出来自体は気にしません。とはいえ、ただ撮影するだけではなく、ネット上に記録するところまでが大事。自分が感じ取った小さな美を、後に見直しながら整理していく作業によって自律神経が整うのです。
小林式「コロナうつの予防術」
1.ふとした時に目に入る「小さな美」を意識的に眺めて自律神経を整える。
2.スマホで撮影し、SNSにアップすることで仲間と共有したり、後から眺め直したりもできる。
整理整頓も自律神経を整えるのに効果的です。私の場合、これまで気にはなっていたけれど手つかずにいた余計なものの処理を、着々と進めています。資料が山積みになっていた研究室も、きれいに片付けて気持ちを一新しました。長引くコロナ騒動に流され、人生のけじめがつかないと感じている人は、「コロナに負けず新しく始めた習慣」を意識的に持つようにしましょう。
小林式「コロナ禍の行動術」
* * *
小林弘幸(こばやし・ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。昭和35年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手やアーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に関わる。