取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
ARINA株式会社が運営する幼児、小学生の親御さん向けの教育メディア「おうち教材の森」では、日本全国の中学生以下の子どもの親を対象に「子どもにイラっとした時の自分のアンガーマネジメント、どのようにしていますか?」とのアンケート調査を実施(実施日2023年6月28日、有効回答数:200、インターネット調査)。1位になったのは、「一旦その場を離れる」との回答だった。
今回お話を伺った遥香さん(仮名・38歳)は現在夫と中学生になる子どもとの3人暮らし。遥香さんは初婚、夫は再婚で中学生になる子どもは夫の連れ子である。「お母さんになることは諦めていたから、結婚したときは不安と喜びの半々といった状態でした」【その1はコチラ】
「側に居てくれるだけで嬉しい」子育てはそんな気持ちから始まった
遥香さんの両親はバツイチ子持ちの夫との結婚を喜んでくれた。それには、遥香さんの病気も影響しているという。
「やっぱり、子どもが難しいから結婚しないかもという思いが両親の中にもあったんだと思います。両親は私に一度も結婚しろとは言いませんでしたから。
子どもと両親は顔合わせのときに会ったんですが、子どもと父親は緊張気味だったんですけど、母親は子どもに積極的に話しかけていましたね。義両親も優しそうな方で、私たちの結婚を喜んでくれました。子どもや夫とも仲良さそうで、この優しそうな人たちの家族に迎えてもらえたのも嬉しかったです」
3人での生活では、子どもとはあまり会話がない状態が続いたが、子どもなりに歩み寄ってくれていると感じることもあった。夫とは本音を言い合っているからなのか、ケンカになっている場面も多く目にしていたが、最終的に仲良くしている姿を見ていたこともあり、特に気にしていなかった。
「子どもは家にいる間はタブレットでゲームをずっとしていて、特に会話はありません。でも、ゲームをしながらも私の近くでリラックスした姿を見せてくれたり、そのゲームで勝ったときにはどのような勝ち方をしたのか説明してくれたり。子どもは自分の部屋もあるのに、リビングに居てくれるという些細なことなんですが、それが嬉しかったです。受け入れてくれる気がして。
私との関係とは違って、子どもは夫にはワガママを言って、夫もゲーム時間に関してはいつも叱っていました。でも、結局は夫と子どもは一緒にお風呂に入って、お風呂から出てきたときには仲良しな2人に戻っていて。そんな姿が微笑ましくもあり、小学校高学年の男の子ってこんなにまだ子どもなんだなって、子どもの生態について色々勉強させてもらう毎日でした」
【父子のケンカをフォローできない。 次ページに続きます】