取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った夏美さん(仮名・37歳)は28歳のときに職場の同僚だった男性と結婚。結婚までにデートした回数は14回。結婚2か月で妊娠したことで新婚生活もなく、結婚生活はイメージしていたものとまったく異なったという。
「初めて一緒に生活するので、2人で家具とかDIYしたいなとか、付き合っていた頃は泊まりも数えるほどしかなかったのでこんなところに遠出したいなとか、色々想像していたんです。でも、ただ安静に家でじっとしておくしかなくなった。正直に言って、まったく楽しくなくて、結婚したことを後悔していました」
日々の小さなストレスで、私ではなく夫が爆発した
妊娠期間は義母のサポートや里帰り出産などで乗り切り、無事男の子を出産。子どもが生まれてからは夫婦の関係は修復しつつあったが、それは一時的なものだった。そんな夫婦の関係を一番心配していたのは、義母だった。夏美さんがストレスをためないように、実母よりも子育てに協力的だったという。
「私たちの新居は大阪市内に構えていたのですが、義実家はそこから車で20~30分のところにあり、子どもが生まれてからは、週の半分は私の様子を見に来てくれました。義母は気遣いのできる人で、私の予定や私の母が来る予定も加味して、さらには私が1人になる時間も作ってくれました。1人になりたいときは子どもを義実家で預かってくれたんです。
義母はよく夫の悪口も私と一緒に言ってくれました。『融通がきかないところはお父さんと一緒』とか、『育て方間違えちゃった。ごめんなさいね』など、気持ちが軽くなるように少しお笑いに変えてくれた。私のことを嫁ではなく、家族として、娘として見てくれているのかなって感じていました」
義母に繋ぎとめられた夫婦関係は大きな揉め事こそなく、続いていた。子どもも6歳になり、母親である夏美さんにべったり。家族3人で出掛けることもあったという。そんな日常が続いていくと思っていた矢先、夫から「離婚したい」と打ち明けられる。
「家が休まる空間じゃない。家事の負担がしんどい。大切にされている感じがしない。などなど……、そんなことで離婚できるとでも? と聞きたくなるような内容でした。『いつまで経っても働かないくせに、子育てが少し落ち着いても家事の分担はそのまま』とか、『マンションの自治会の集まりに自分だけがずっと参加している』とか、細かいこともたくさん言われました。
そんなことで離婚に同意できない! と私が言うと、『そんなことじゃない! ずっとずっと我慢してきたんだ!』と声を荒げられました。
私は恐怖を覚え、咄嗟に子どもを起こして、義実家に向かいました」
【義母からの裏切り。一転して離婚を後押し。 次ページに続きます】