前回の記事「手首の向きを変えるだけでOK!肩こりをゆるめる歩き方“こりとりウォーク”の基本」では、は肩こりを解消するこりとりウォークをご紹介しました。
肩こりは筋肉が収縮してこり固まったものをイメージしますが、実際は、筋肉が伸ばされたり、引っ張られたりすることでこりが発生していることのほうが多いのです。
肩が内巻きになると、肩甲骨が横向きになり筋肉は外側へ伸ばされます。これが多くのこりの原因です。
こりの解消には肩甲骨と肩を正しい位置に戻すこと。しかし、正しい姿勢をとってもすぐに元に戻ってしまったり、正しい姿勢がよくわからない人もいるのではないでしょうか。
今回は、名づけて「魔法の形状記憶メソッド」という、3秒で正しい姿勢がつくれ、同時に肩も軽くなるエクササイズをご紹介します。
座ってでも立ってでもできる「魔法の形状記憶メソッド」
(1)両腕を肩と水平の位置まで上げ、両肘を90度に曲げた状態で、胸を前に突き出します。(これら3つの動きを同時にやります)
(2)そのままの状態から、腰を少しだけ後ろに引きます。
(3)そのままの状態から、両腕をおろします。
立ってでも座ってでも構いません。また、歩き始めやデスクワークの合間で行えば、脳への姿勢インプット効果も大です。
ちなみに(1)の状態のまま猫背にしようと試みてください。できないはずです。さらに(1)の状態のまま、首を前に出してみてください。これも出せないはずです。
つまりこのカタチにすると、あえて悪い姿勢をとろうとしても取れないわけです。ということはこの状態が、もっとも姿勢が悪くならない状態であり、いま現在のあなたができる一番よい姿勢なのです。
骨と肩甲骨が正しい位置に収まれば、筋肉がムダに引っ張られることもなくなるため、肩がスーッと楽になります。
なぜ肩甲骨が横向きになると猫背に見えるのか
背骨には何の問題もないのに、猫背に見えてしまう人もたくさんいます。
一般的には背中の丸い人を「猫背だ」「姿勢が悪い」と捉えがちですが、肩が内に巻いているだけでも、肩甲骨の平面部分(三角部分)が横に向いてしまい、猫背に見えます。
ではなぜこのように肩甲骨が横向きになると、猫背に見えてしまうのでしょうか。
それは肋骨の形にあります。肋骨は背骨からスタートして、ぐるっと半円形の樽のような形になっています。
肩甲骨は肋骨の上をトロッコのように移動するので、肩が内に向けば向くほど、肋骨の上を前進し、横から見ると、あたかも背中がまるまっているように見えてしまいます。
このように肩甲骨が内に向くと肩こりだけでなく猫背に見えてしまうので、見た目としても残念な話です。肩こりがなくても猫背の傾向がある人は「魔法の形状記憶メソッド」を取り入れるとよいでしょう。
* * *
このメソッドは「いつやればいいんですか?」という質問をよく受けますが、いつやっても構いませんし、日に何度行っても構いません。また、立ってでも座ってでも、どちらでも構いませんし。どちらがよいということでもありません。
また歩き出すまえにこのメソッドを行なうことで、正しい姿勢で歩くことが簡単に習得できます。ぜひ毎日の習慣にしていただきたいメソッドです。
監修・構成/宮腰圭
取材・文/庄司真紀
指導/宮腰圭(みやこし けい)
整体家。骨と筋代表。アカデミー骨と筋主宰。1969年秋田県生まれ。50年代のアメリカに憧れ、テネシー州メンフィスでバンド活動に励んだのち、30才のときに音楽で生計を立てる道を断念。一転カイロプラクティックの道を志し、日本カイロプラクティックカレッジに入学。2001年より米国政府公認ドクター中島旻保D.Cのセンターに勤める。2006年より中目黒にて開業し、2010年にはスクールを開校。現在は秋田と東京に拠点を置き、施術や整体家の育成に努める。誰もが自分で治せる療法の開発にも力を入れており、セルフメソッドの発明王!との異名をもつ。著書に「1日10分歩き方を変えるだけでしつこい肩こりが消える本」「1日30秒足を振るだけでしぶとい腰痛が消える本」などがある。骨と筋(http://www.pelvickm.com)
【参考図書】
『1日10分歩き方を変えるだけでしつこい肩こりが消える本』
(宮腰圭・著、本体1,300円+税、サンマーク出版)