日本という国には、よいものがたくさんあります。それは日本人ならではの美意識と職人気質が生み出した、世界に誇るべき知恵と技術の結晶です。
作り手たちの真心と熱い思いが宿る品々は手に取るだけでその土地の文化や風土、歴史が感じられます。各地で作られている「日本製」の魅力ある名品をご紹介いたします。
1:JAPAN RED 万年筆
紫鉱で染めた軸の鎚目が煌めく、書き味なめらかな美しい一本
アルミから削り出したボディに伝統染料「紫鉱」で彩色を施した、美しい万年筆だ。開発のきっかけは、大分県の地域商社「OitaMade」のシニアマネージャーである中道正晴さんが同県佐伯市で精密板金加工を行なう「長尾製作所」を訪れ、天然染料で染めたアルミを見たことに始まる。
「その美しさに驚きました。天然染料は吸着しにくく金属の彩色は不可能とされていましたが、長尾製作所では3年の年月をかけて製法を確立しました。私は、その画期的な技術を活かして万年筆を作ろうと決意。セーラー万年筆に話を持ちかけたところ、快く協力していただけました」
本品の染料は、奈良の東大寺・正倉院に奉納されている着物にも使われる伝統染料「紫鉱」。彩色はアルミの表面に開けた微細な孔に色素を閉じ込める「アルマイト」技法で行なう。さらに、職人が手打ちで施した鎚目の凹凸が光を受けて輝く様は、まるで宝石のようだ。その美しいボディに、セーラー万年筆が高品質なペン先を組み合わせて完成となる。
外したキャップを尻軸にはめることで、最適な重心バランスとなるよう設計されており、書き心地はじつになめらか。文字をしたためる機会が減りつつあるが、手書きの素晴らしさを再認識させてくれる万年筆である。
仕様:全長133.29mm×最大径15.5mm(収納時)、45g。蓋・胴はアルミ天然染料(紫鉱)彩色仕上げ(鎚目加工)。ペン先は、21金中型、カートリッジ、コンバーター両用式。コンバーター(装着済)、カートリッジ(2本)が付属。日本製。
価格:【F(細字)・M(中字)共通】77,000円
2:カシオ G-SHOCK MTG-B3000
剛性を高め、さらに薄型化。造形美が光る「頑丈な腕時計」
タフネス(耐衝撃)腕時計という新機軸を築いた「G-SHOCK」を世に送り出すカシオ計算機。同社は、昭和21年、樫尾忠雄さんが東京都三鷹市に樫尾製作所を設立したことから始まる。忠雄さんは兄弟たちと力を合わせ、世界初の小型純電気式計算機「14-A」の開発に成功。これを機に昭和32年、カシオ計算機を創業する。
その後、小型化した世界初のパーソナルユースの電卓「カシオミニ」を発売し、大ヒットを収めると、新規分野開拓の一環として、時計事業に参入した。「時間は1秒ずつの足し算だ」という考えに基づき、世界で初めてオートカレンダーを搭載した電子腕時計を製作。デジタル技術を駆使した多機能デジタル腕時計は進化と挑戦を続け、昭和58年に時代の常識を覆す耐衝撃腕時計「G-SHOCK」の発売にたどりつく。
「当時の腕時計は繊細で、落とせば壊れてしまうものが多かった。そんな中、大切な腕時計を壊してしまった開発者の伊部菊雄が社内の新商品の提案書に、『落としても壊れない丈夫な腕時計』と、たった一行の案を書いたのです。その瞬間から『G-SHOCK』の開発は始まりました」と、同社東日本営業部の酒井祐美さんは話す。
開発には2年の歳月をかけ、試作品は200を超えた。苦心の末に完成したのが初号機の「DW-5000C」だった。時計の心臓部であるモジュール(ムーブメント)をケースの中で浮かせるように配置。中空構造のような独自の耐衝撃構造で、これまでにない“タフネス”を実現させた。
「アイスホッケーのスティックで打っても壊れないという紹介で、アメリカで人気を博し、世界にその名が広まりました」
『MTG-B3000』は、世界的メーカーの同社が手がける数少ない日本製シリーズであるMT-Gの最新作。「構造」「ケースバック(裏蓋)」「薄型モジュール」の進化で、小型・薄型化を実現した。
新たな構造を考案し剛性をさらに向上
構造は衝撃力、遠心力、振動の3つの重力加速度に耐えるタフネス構造「トリプルGレジスト」を採用。直接衝撃を緩和し、落下衝撃に強く、過酷な重力下でも安定した運針で、激しい振動による破損や誤動作も防止する。
モジュールを保護するカーボン樹脂ケースを、ケースバック(裏蓋)とベゼルで包み込むことでさらに剛性を高めた。ステンレス製のケースバックはプレス、切削、研磨技術を駆使し立体的な複雑形状に成形しており、バンドを固定するラグやりゅうずガード、ボタンガードの機能も持つ。それが小型・軽量化にもつながった。
時計の心臓部である新モジュールは高密度実装技術により、従来モデル(MTG-B1000)に比べ、1.45mm薄型化。これによりケース自体の厚みも12.1mmと、2mm以上も薄くなった。
「薄型モジュールでありながら、機能も充実しています。Bluetooth(R)通信機能により、スマートフォンに自動接続し、時刻を自動修正。海外でも都市を選択するだけで簡単に時刻が修正できます。蛍光灯の光でも発電するタフソーラー(ソーラー充電システム)や高輝度なLEDライトも搭載されています」
画期的なのがバンド部分の新構造。ラグの両サイドのボタンを押すだけで、専用工具を使うことなく、簡単にバンドの交換ができる。
「複雑形状のメタル外装は独特の造形美で高級感を醸します。『GSHOCK』の初期モデルを身につけていた方にも、ご満足いただける大人のかっこよさを追求しました」
仕様:ケースは縦5.19×横5.09×厚さ1.21cm、約148g。対応手首回りは15~20.5cm。ケースはカーボン、ケースバック(裏蓋)はステンレススチール、ベゼル材質はステンレススチール、風防は内面反射防止コーティングサファイアガラス、バンドはステンレス、ファインレジン。20気圧防水。タフソーラー(ソーラー充電システム)、電波時計(日本・北米・ヨーロッパ・中国地域対応 MULTIBAND6)。モバイルリンク機能(対応携帯電話とのBluetooth(R)通信による機能連動)・「CASIOWATCHES」対応、デュアルタイム(27タイムゾーン、サマータイム自動設定機能付き、ホームタイムの時刻入替機能付き)、ストップウォッチ(1秒、24時間計、スプリット付き)。タイマー(セット単位:1分、最大セット:24時間、1秒単位で計測)。時刻アラーム。LEDライト、フルオートカレンダー、針位置自動補正機能、日付・曜日表示。メーカー保証1年間。日本製。※電波受信が行なわれない場合や、スマートフォンと連携しない場合は、通常のクォーツ精度(平均月差±15秒)で動作します。
価格:137,500円