皆さんは、漢方薬と聞くとどんな印象がありますか? 「苦いけど体によさそう」「葛根湯は知っているけど……」など、「そもそも漢方ってどんなもの? 」と思っている方も多いのではないでしょうか。
そんな基本的な漢方に関する疑問や基礎知識を、漢方の専門家にわかりやすく解説してもらいます。 第63回のテーマは、「新生活のストレスを和らげる漢方」です。あんしん漢方(オンラインAI漢方)の薬剤師、竹田由子さんに教えてもらいました。
新生活のストレス症状。あなたはどのタイプ?
新生活シーズンは生活環境や人間関係が大きく変化し、何かとストレスがたまりがちです。ストレスは万病のもとともいわれ、慢性的な不調や思わぬ大病のきっかけになる場合もあるため、決して軽視はできません。
ストレスによる症状は様々で、人によってあらわれ方も異なります。今回は、漢方医学における考え方でストレスを分類し、その解決方法も一緒にご紹介します。
1.「気滞(きたい)」タイプ
漢方医学では、体を支えている重要な要素「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のうち、根源となるエネルギーの「気」が滞っている状態を「気滞」といいます。
のどに“つかえ”のような違和感を感じたり、胃に余分な気がたまったり、おなかが張ったり、げっぷやおならが出やすくなったりするのも気滞の影響です。
気は肉体だけでなく、精神のコントロールにも影響を及ぼします。些細なことでイライラし、怒りっぽくなるなど、気分の浮き沈みが激しくなるのも気滞の特徴です。
2.「瘀血(おけつ)」タイプ
「気・血・水」のうち、「血」が滞っている状態を「瘀血」といいます。過度な緊張がストレスとなり、血管が収縮することによって血液の流れが悪くなってしまいます。体の中に古い血がたまり、ドロドロとした血が滞っている状態です。
疲れがハッキリと顔に出て、目の下にクマができたり、肌のくすみが目立ったり、傷の治りが遅かったりといった特徴があります。
女性の場合は生理痛が通常よりも重く感じ、経血にレバー状の塊である「凝血塊(ぎょうけっかい)」が混じる場合もあります。
3.「陰虚(いんきょ)」タイプ
「気・血・水」のうち、「水」が足りない状態を「陰虚」といいます。水とは汗や唾液、胃・腸液、分泌液など、血以外の水分のことです。ストレスにより気の流れが滞ると、体に余計な熱がこもり、陰虚体質に傾いてしまいます。
水が不足すると体に乾燥が生じるため、のどの渇きを強く感じたり、口・鼻の粘膜が乾燥したり、粘膜が荒れて免疫力が低下したりすることがあります。
皮膚だけでなく腸内の粘膜の潤いも失われるので、便が硬くなり、排尿量が少なくなるなど、老廃物をうまく排出できずに代謝も悪くなってしまいます。
新生活のストレスを和らげる漢方
ここからは、「気滞」「瘀血」「陰虚」の3つのタイプそれぞれに適した漢方薬と、その効能を併せてご紹介します。
漢方薬でのストレス改善には、鎮静作用のある生薬に加えて
・自律神経の乱れを整えて心を穏やかにする
・睡眠の質を上げて、疲れた心を回復する
・水分の巡りをよくして、体内の毒素や老廃物を排出する
などの生薬を含む漢方薬を使い、体質に合わせて根本からの改善を目指します。
1.「気滞」タイプにおすすめの漢方
気滞タイプでのどのつかえを感じるなら「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」がおすすめです。しわがれ声やせきが気になる場合にも向いています。
生理不順など、女性特有の症状にお悩みなら「加味逍遙散(かみしょうようさん)」。これは女性の三大処方とも呼ばれている漢方薬のひとつで、精神不安やいらだちを始め、のぼせ感や疲労感にも適しています。
2.「瘀血」タイプにおすすめの漢方
瘀血を改善する代表的な漢方薬は「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」です。滞った血流の巡りをよくしてのぼせや足の冷えなどを改善します。
また、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」もおすすめです。のぼせや便秘が目立つ人の頭痛や高血圧症状に用いられます。
両薬は、生理痛や生理不順に使われる婦人薬でもあります。
3.「陰虚」タイプにおすすめの漢方
陰虚によるほてりやのぼせ、口の渇きを感じているなら「知柏地黄丸(ちばくじおうがん)」がおすすめです。泌尿器や生殖器に関わる「腎(じん)」のはたらきを改善し、顔や四肢のほてり、排尿困難、頻尿、むくみを和らげます。
心が落ち着かない人には、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」。心身ともに疲弊し、不眠などに悩まされている場合に用いられます。抑うつや焦燥感など、ストレスを多く抱えている場合に適しています。
漢方は体質との相性で正しく選ぼう
漢方薬でもっとも大事なのは、人それぞれに合った薬を選ぶことです。漢方薬では、「気・血・水」で不調の原因を探るほか、体質や症状のあらわれ方を示す「証(しょう)」を重んじています。
体全体のバランスを重視して調整し、不調を改善していくのが漢方薬です。場当たり的な対症療法ではなく根本治療を目指すのが漢方医学であり、そこが西洋医学とのハッキリとした違いでもあります。
正しく漢方薬を扱うには、きちんとした漢方の知識が必要です。漢方のプロである医師や薬剤師なら、体質や症状を総合的に判断したうえで適切な漢方薬を処方してくれます。
最近は、ネットで簡単に漢方薬を購入できるあんしん漢方というサービスも人気です。AIと医療チームがタッグを組んだ漢方薬のマッチング技術が注目されています。スマホひとつで漢方薬の注文や医師への相談が可能です。
定期的な体質や症状のチェックも行えるので、実際に病院に通院するような感覚でサポートを受けることができます。
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ストレスをためず楽しい新生活を送ろう!
春先は変化の多い季節なので、体と心がアンバランスになってしまいがちです。人によってストレスの出方にも違いがあり、気滞、瘀血、陰虚など体質のタイプによって対処法も異なります。
また、規則正しい生活もストレスをためないコツです。日々の習慣から見直して、健康的な生活を送りましょう。
さて、次回は「イライラ・クヨクヨがなくなるリラックス漢方」です。ぜひご覧ください!
<この記事を書いた人>
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