正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれません。Google 先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。
あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう⼀度、確認しておいても良いかもしれません。「脳トレ漢字」第139回は、「出色」をご紹介します。「色が出る」と書いて、言われると思わず嬉しくなってしまう、あの褒め言葉になるのです。実際に読み書きをして、漢字への造詣を深めてみてください。
「出色」は何とよむ?
「出色」の読み方をご存知でしょうか? 「でいろ」「でしょく」と読んでしまいそうになりますが……
正解は……
「しゅっしょく」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「ほかより目立って優れていること」と説明されています。「出色の出来栄え」や「出色の人」などのように使いますが、ただ優れているというだけではありません。「出色」は、ほかのものや人物に比べて、圧倒的に優れている、頭一つ抜きんでているという意味を持つのです。
優れていると言えば、「選りすぐり」や「粒ぞろい」という言葉がありますが、こちらは集められたものや人物が皆一様に優れているという意味になります。一方で、出色と言うと、集められたものや人物の中でもずば抜けて優れているという意味になるため、同じ「優れている」という意味を持つ言葉でも、程度がかなり異なるのです。
「出色」の漢字の由来とは?
では、「出色」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「出」は、限られた範囲や中から外の方へ移るということを、「色」は色彩を意味します。「色」という漢字に関しては、「才色兼備」や「十人十色」などの四字熟語にもあるように、人の特性を表すことが多いです。
そのため、「その人が持つ特性が外へ出る」ということで、ほかのものに比べて突出している、ずば抜けているという意味を持つようになったと考えられます。
「出色」の類義語は?
ほかより目立って優れているという意味を持つ「出色」。類義語として、ほかのものに比べてずば抜けているという意味を持つ「秀逸(しゅういつ)」や、はるかに優れているという意味を持つ「卓抜(たくばつ)」などが挙げられるでしょう。
どちらの言葉も、圧倒的に優れている、ずば抜けて能力が高いという意味としてよく使われています。
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いかがでしたか? 今回の「出色」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 簡単に書ける漢字だからこそ、読みや意味などをあまり気にすることなく読み飛ばしてしまっているかもしれません。改めて漢字の意味について理解を深め、知識を定着させていきましょう。
文/とよだまほ(京都メディアライン)