技術と伝統で写真文化を築き上げたライカのデジタルカメラ
世界中の報道カメラマンが写真で歴史を刻み、決定的瞬間といわれる不朽の名作を写してきたライカカメラ。ライカの永年の歴史で培った技術を伝統と革新でデジタルカメラとして凝縮したライカV-LUX5。シンプルなデザインは機能美を極めドイツデザインの真骨頂を感じる。
一眼レフカメラを彷彿とさせるフォルムは手に馴染み、コンパクトカメラのクラスに属しながらも程よい重さバランスもあり所有感を満たしてくれる。撮像センサーは1インチとこのクラスでは大型サイズで、2010万画素の高精細な写真作品を残すことができる。
レンズは25~400mm(35mm判換算)を搭載した16倍ズーム。高倍率の焦点距離をカバーしており、一眼レフカメラのような重たい交換レンズの持ち運びも不要となる。
最初に光をインプットするレンズは重要
デジタルカメラで重要なポイントとしてレンズの描写性能がある。もちろん撮像センサーの性能も重要であるが、最初に光をインプットするレンズの役割は画質を左右する。広角から望遠まで高精細でシャープに描写し、かつ階調豊かなボケ味を表現できるレンズの役割は大きい。本機のレンズには、非球面レンズとED(特殊低分散)レンズを採用しており、ライカが培ってきた光学技術の粋を極め、焦点距離の全域において高い描写を発揮している。そして開放絞りでのボケ味は美しいグラデーションだ。
これまでの100年、これからの100年
最新デジタルカメラの撮像センサーのフルサイズ基準は、35mm判フィルムの1コマ24x36mmの大きさ。ライカ判ともいわれ約100年前のライカ製カメラが世界標準になったと言われている。100年続く基準をつくった功績は大きい。
冒頭で紹介したようにライカは技術と伝統を重んじている。流行を追わず時代に流されない孤高な存在だ。その一例として、撮影画像の発色は派手さが抑えられており、しっとりとした落ち着いたトーンとなる。100年以上の歴史を持つ「ライカ哲学」とも捉えることもでき、ライカの矜持だ。これからの100年も変わることがないであろうライカ哲学を感じ、21世紀の現在の光景を後世に伝えられる写真作品を残したい。そのための機能は「ライカV-LUX5」には備わっている。
ライカV-LUX5
撮像素子:1インチMOSセンサー 有効画素数:2010万画素
焦点距離:25 – 400 mm相当(35mm判換算)
サイズ:幅136.7×高さ97.2 ×奥行き131.5 mm
重量:812g (バッテリーを含む)
価格:20万9000円
ライカ公式ウェブサイト
https://leica-camera.com/ja-JP/photography/cameras/v-lux/v-lux-5-black
写真・文/福永仲秋(写真家) 公益財団法人 日本広告写真家協会 正会員