フランス料理の食前酒という印象が強いシャンパン。じつは和食全般に合う食中酒でもある。鮨、天ぷらからおせち料理まで、和食に合うシャンパンで新年を祝いたい。
甲殻類や貝類はミネラル分に、根菜類は果実由来の甘さに合う
多くの職人を輩出してきた『てんぷらと和食 山の上』は、ホテル内の店なのでワインが充実。シャンパンは5種類を揃えている。グラスで注文できる「ルイ・ロデレール コレクション242」はきれいな酸があり、派手さはないが食材を引き立てると、調理長の寺岡正憲さん(43歳)は話す。
「天ぷらには、いくつかシャンパンにとても合う食材があります。まずは甲殻類や貝類。海老や小柱、帆立、牡蠣などの持つミネラル分は、シャンパンの持つミネラルと共鳴するのだと思います」
冬の主な天ぷら素材
身近な食材とも好相性
また、シャンパンは家庭でも気軽に扱える食材にも合うという。
「根菜類です。人参、牛蒡、蓮根のほか、南瓜などほっくりとした自然の甘さは、特に黒ぶどうの品種が入ったシャンパンの果実由来の甘さにとてもよく合うのです」
根菜が美味しい今の季節に家庭でもぜひ試してみたい。シャンパンのぶどう品種がよくわからない時は、ロゼを選べば間違いないと寺岡さんは助言する。
さらに天ぷらとシャンパンの相性の良さは食感にもある。
「サクッとした衣はもちろん、海老の脚などカリッとしたものは好相性。店では甘鯛の鱗を立たせるようにサクサクに揚げているのですが、これはシャンパンと最高の組み合わせです。家庭なら、揚げた天ぷらの上に大粒の塩をのせるのをお薦めします。ガリっとした歯触りの後に、塩だけれど甘さも感じられるはず。こうした要素がシャンパンに合うのです」
油のまろやかさや甘さもシャンパンに合うというのだから、難しいことを考えずとも「天ぷらにシャンパン」は誰もが楽しめる組み合わせといえる。家庭でも食卓に天ぷらが並ぶ日は、シャンパンボトルを用意したい。
てんぷらと和食 山の上
東京都千代田区神田駿河台1-1 山の上ホテル1階
電話:03・3293・2831
営業時間:11時30分〜14時30分(最終注文)、17時〜20時(最終注文)
定休日:無休 季節のおまかせ2万円、野菜のおまかせ1万6000円。単品注文も可能。
取材・文/浅妻千映子 撮影/多賀谷敏雄
※この記事は『サライ』2023年1月号より転載しました。