取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った玲奈さん(仮名・35歳)は、小さい頃から両親との折り合いが悪く、両親が離婚後は祖父母の家、そして高校生になってからは姉夫婦の家に居候していた。姉夫婦が、子どもが生まれてから徐々に会話が減っていたことを薄々は気づいていたという。
「姉は出産後に体調が不安定で、機嫌にも波が激しいときもあって。でも夫婦ゲンカというよりも一方的に姉がキレて、義兄は困った顔をしながら何度も謝罪するような場面をよく目にしていました。義兄の態度は年下をあやすような感じで、私には大人な振る舞いにうつりましたが、姉はよく『あの態度がムカつく』と怒っていました。
『何を言っても響かない』と姉が口にしてから、夫婦の会話は徐々に減っていきました」
姉は夫と子どもを、そして私を捨てた
高校卒業後に姉家族の家から出て一人暮らしを計画していた玲奈さんだったが、姉の要望もあってそのまま就職先に通うことに。義兄にはいつまでも居候して申し訳ない気持ちもあったというが、それよりも姉の役に立ちたいという思いのほうが強かったという。
そんな気持ちを裏切るかのように、姉は玲奈さんに何も伝えずに家に帰って来なくなった。
「家族じゃない私が家に居たほうが、大きな亀裂になるようなケンカに発展しないかもしれないと思って、姉の希望通りに居候生活を続けていました。ありがたいことに義兄は嫌な顔一つせずに、逆に何かを察知してか『ありがとう』なんて言ってくれていましたね。
そんなにいい義兄さんなのに、姉は子どもも置いたまま、帰って来なくなりました。義兄には離婚したいと言って出て行ったみたいでしたが、私には何の話もされていませんでした。それに、連れていかずに子どもを置いて行ったことがどうしても許せませんでした」
姉は帰って来ないまま3年以上が経つも、一度も姿を現さず、離婚についての話し合いも行わないままだった。玲奈さんは当時6歳になった姪のこともあり、姉のいない家に居候することに違和感はありつつも出て行けなかったという。
「いなくなった時は3歳で、最初は色んな理由をつけて姉がいないことを説明していたのですが、6歳になる頃にはもう私たちに聞いてくることもなくなっていました。あんな幼い子が空気を読んでいて、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね」
【恋愛願望がない私が家族を持つ唯一の方法。 次ページに続きます】