恋愛願望がない私が家族を持つ唯一の方法

姉は母親と連絡を取っており、離婚が成立していない中で別の男性と暮らしていることが発覚する。仏のような優しさを持つ義兄も許すことができず、慰謝料をもらって離婚に至る。親権はすんなりと父親に譲り、姉は一度も子どもの顔を見ることもなく出ていった。

「離婚届けのことで一度だけ姉が家に帰って来ることになり、私は夫婦の話し合いがあるだろうと姪を連れて別室で待っていたのですが、姉はそそくさと出て行ったと言います。そのときに、もうあの人は他人なんだなって思いました」

離婚後に玲奈さんは再度家を出ることを決意して、その3か月後には一人暮らしをスタートさせる。しかし、姪のことが心配で、アパートは義兄の家から徒歩3分のところ。結局何度も通うようになり、今の関係に落ち着いたという。

「義兄の家に戻るときに、『本当の家族として』とプロポーズまがいのことをされたんですが、お断りしました。義兄はあくまでも私からするとおじさんのような人で異性としては見れないので。そんな私も義兄は迎え入れてくれました。

実は私は異性とちゃんと付き合ったことがありません。学生時代に紹介された人と1か月ほど付き合ったことがあるのみです。でも、恋愛したいとも思わないんです。恋愛しないのであれば子どもを持つことはできないと思っていました。でも今は、姪を中心に家族ができたので、想像していた未来よりもはるかに満たされています」

若者の恋愛離れがメディアに取り上げられる機会が多くなったが、恋愛、結婚願望がない人はここ数年で始まったことではないはず。

親からの愛情不足で育った人は、自分の価値が見い出せずに何かに依存してしまったり、他人を信用しにくい傾向があるという。

玲奈さんの場合は、同世代の女性たちが恋愛をしていた時期には、恋愛よりも姉、姪という大切な存在と一緒にいることを選んでいる。それはもしかしたら依存の一種かもしれないが、玲奈さんに後悔はない。

信頼関係は恋愛からしか得られないものではないのだから。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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