取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った玲奈さん(仮名・35歳)は未婚ながら、14歳上の男性とその娘と一緒に暮らしている。その娘は姪、実の姉の子どもだという。

「一緒に暮らしている男性は、姉の元夫です。私たちはもちろん夫婦ではなく、姪のために一緒にいる家族。共同体といったところでしょうか」

私を育ててくれたのは祖父母、そして姉だった

玲奈さんは神奈川県出身で、両親と7歳上に姉のいる4人家族。両親は物心がついた頃には不仲で、夫婦ケンカも絶えなかった。そんなときはいつも姉が側にいてくれたと当時のことを振り返る。

「姉の存在があったから、あの家族の中で暮らすことができたんです。両親は顔を合わすとケンカばかりで、私と母の仲も良くありませんでした。母はヒステリーで言葉遣いも悪くて、『〇〇しろ!』というような命令口調でしか話しかけられたことがなかった。品のないおばさんだなってずっと思っていました。

父親はたまに構ってくれるけれど、母親と顔を合わせたくないからか家にほとんど帰って来なくて、いないようなものでしたね。私と姉は別々の部屋だったんですけど、両親が揃っているときにはそっと私の部屋に来て一緒に寝てくれていました」

小学校4年生のときに両親は離婚。姉と玲奈さんは母親と共に家に残ったが、「世話がかかるほう」という言い方で祖父母に預けられることに。一時は姉と離れ離れになってしまう可能性があったものの、姉は一緒に祖父母の家に来てくれたという。

「母は離婚前まではパート勤務だったのが正社員になって、色々大変だったんだと思います。それはわかるんですけど、私のほうが小さくて一人じゃ何もできないということも理解できたんですけど、“いらないほう”と言われたようで……。あんな母親なのに、選ばれた姉に嫉妬してしまって、一時姉にうまく甘えられなくもなりました。

だから、姉が『お母さんよりも玲奈のほうが大事』と祖父母の家に一緒に来てくれたときはとても嬉しかった。そんな姉の行動がなければ、姉ともギクシャクした関係になっていたかもしれません」

祖父母の家で中学時代まで過ごすも、祖父が亡くなったことで、祖母は伯父と暮らすことになり、母の元に戻らなければいけなくなった。高校を卒業後に働いていた姉は、21歳のときに結婚。姉の夫婦の家に居候することが決まる。

「祖父が亡くなって祖母が伯父と一緒に暮らすことになって、私は母親の元に帰らなければならなくなりました。離婚したといっても両親はちゃんといるのに、伯父の家にはさすがにお世話になれないですからね。本当に嫌だったけど、母親の家に戻ろうとしていたときに姉が『一緒に暮らそう』と言ってくれて。姉は結婚して、すでに祖父母の家から離れていたんですが、『旦那にもちゃんと話をしてあるから』と私を連れて帰ってくれました」

【高校時代は姉家族のため、役に立ちたい一心だった。次ページに続きます】

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