取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った礼美さん(仮名・43歳)は、友人の友人だった旦那さまに見初められて39歳のときに結婚、現在は旦那さまとの2人暮らしです。自身の生い立ちから、小さい頃から結婚は諦めていたとのこと。39歳から家族というものの温かさを初めて体験していると言います。

「今はそんなことないかもしれませんが、私生児だった私はいくら好きになった人ができたとしても相手のご両親から結婚は拒否されると思い込んでいたんです」

母親は愛人。母のパートナーたちの援助で生活していた

礼美さんは東京都出身で、母親との2人家族。小さい頃によく家に来ていたおじさんが父親だったことは大きくなってから伝えられ、父親についてはぼんやりとした記憶しか残っていないとのこと。

「学校に行くようになって父親という存在がいないことに気がついたのですが、小さい頃は母親と2人というのが普通で、父親の存在を気にしたことがなかったんです。だからよく家に来ていたおじさんはあくまでも顔見知りの人という感じで父親なのかなとも思わなかったから、母親に聞くこともなかった。

中学の頃に初めてあのおじさんが父親だったと、他に家庭のある人だったということを母親から教えられたんですが、その頃にはその人は家にまったく来なくなっていました。お父さんという存在を認識しても、『もっと甘えておけばよかった』とか、『今連絡を取りたい』とかはまったく思いませんでしたね」

礼美さんは都内にある有名私大を卒業していますが、大学進学は母親から強く勧められ、その学費は母親の恋人からの援助だったそう。母親も働いていたこと、祖父母の援助もあったことから親族が大学資金を用立ててくれたと思っていたと言います。

「その事実も卒業後に働き出してから母親から伝えられ、その恋人との接点はまったくなく、母親との関係が終わった後だったこともあってお礼などはできていません。

父親のことは置いといて、大学のお金は事後報告で良かったと思っています。入学前や在学中に聞かされていたら大学に行くことをやめていた気がするので」

【愛人の子という事実を「それが何?」と彼は言った。次ページに続きます】

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