iDeCo(個人型確定拠出年金)は、「老後の資金作り」を目的として掛金を積み立てていきます。しかしながら、想定していない大きな支出があり、iDeCoで積み立てた資金を使いたいというケースや、積み立てをする余裕がなくなってしまうといったケースもあるかもしれません。iDeCoは、途中で解約することが出来るのでしょうか? 今回は「iDeCoの解約」について詳しく見ていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
iDeCoは途中で解約できる?
iDeCoが解約できる条件とは
途中で払えなくなった場合
まとめ
iDeCoは途中で解約できる?
みなさんは老後を迎えるまでに、住宅や車の購入・お子様の教育費、病気やけがで働けなくなったりした場合の生活資金など、様々な支出に備えて資金を準備していることと思います。しかし、そのような準備をしていたとしても、想定外に支出が増えてしまうような事態が起こらないとは言いきれません。万一想定外に支出が増えた場合に、iDeCoを途中解約して積み立てた資金を取り崩すことはできるのでしょうか?
また、家計が行き詰まり掛金の支払いが困難となったときには、iDeCoを解約することはできるのでしょうか?
原則途中で解約できない
iDeCoは、「老後の生活」のために公的年金にプラスして給付を受けられる「私的年金制度」の一つです。公的年金の他に、自分でも年金を準備しやすくするために「税制優遇制度」があることが、大きなメリットとなっています。「老後資金」を目的としている優遇制度のため、原則途中で解約することができません。
そのため、iDeCoの加入や掛金の額を決める際には、ご自身のライフプランを作り「いつ、いくらの資金が必要となるのか」を把握しましょう。老後の資金だけでなく、様々なライフイベントの資金や、万一のときの備えが十分であるかを見極めたうえで検討することをおすすめします。
解約できるケースは3通り
ただし、iDeCoは何があっても解約することは出来ないというわけではありません。iDeCoは、次の3つのケースで解約することが出来ます。
1.加入者が死亡するケース
2.加入者が高度障害状態になるケース
3.加入者が一定の条件を満たし脱退するケース
1と2は、やむを得ない事情で一時金・給付金を受け取り、解約となるケースです。3は、iDeCoを脱退することによって一時金を受け取り解約となるケースですが、一定の条件を満たすことが必要です。iDeCoを解約するためには条件があり、その条件はかなり絞られています。
iDeCoが解約できる条件とは
では、解約できる条件について見てみましょう。
解約できる条件
1.「死亡一時金」として受け取る
iDeCoの加入者が死亡した場合は、遺族が死亡一時金を請求することができます。
2.「障害給付金」として受け取る
加入者が75歳になる前に高度障害者となった場合は、障害給付金として積み立てた資産を、「年金」か「一時金」で受け取ることができます。
3.「脱退一時金」として受け取る
脱退一時金として受け取る場合は、以下の要件をすべて満たしていることが条件となります。
1. 60歳未満であること。
2.企業型年金加入者でないこと。
3.国民年金保険料免除者、外国籍の海外居住者等に該当し、iDeCoに加入する資格がない者であること。
4.日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと。
5.通算拠出期間(※掛金を拠出していない期間は含みません)が1か月以上5年以下、または個人別管理資産額が25万円以下であること。
6.障害給付金の受給権者でないこと。
7.企業型確定拠出年金加入者又は、iDeCo加入者の資格を喪失した日から起算して2年を経過していないこと。
とくに「iDeCoに加入できない者」とは、国民年金第1号被保険者であって、保険料の免除を申請している。または、生活保護法による生活扶助を受給していることにより、国民年金保険料の納付を免除されている方という条件があります。つまり、すべての条件を満たすことが出来る人は限られます。このように、解約できる条件は非常に厳しいものといえるでしょう。
途中で払えなくなった場合
次に、掛金が払えなくなった場合の対処法について見ていきましょう。
掛金が払えなくなったときの対処法
掛金が負担となり支払いが厳しくなったときは、次のような2つの対処法があります。
1. 掛金を減額する
iDeCoは、掛金を減額することができます。掛金の下限は5,000円で、1,000円単位で変更することができるので、無理のない金額まで減額しましょう。掛金の変更は年に1回までですので、十分に考えて金額を決める必要があります。運営管理機関に「加入者掛金額変更届」を提出することで、減額することができます。
2.掛金の拠出を停止する
どうしても掛金を支払うことが難しい場合は、「加入者資格喪失届」を運営管理機関に提出することで、掛金の拠出を止めることもできます。ただし掛金の拠出を止めることはできますが、それまでに積み立てた資産は受給できる時期まで受け取ることはできません。資産の運用のみを行う「運用指図者」として運用を継続し、運営管理機関に手数料を支払い続けることとなります。
なお、再び掛金を支払うことができるようになった場合は、いつでも再開することができます。
無職になった場合の対処法
iDeCoの加入者が退職して無職になった場合でも、所定の手続きをすることでiDeCoを継続することができます。老後のためにiDeCoは継続したいけれど、収入が途絶え掛金が払えないという場合は、上記の「減額」か「停止」の対処法を検討しましょう。
まとめ
今回は、iDeCoの解約について説明いたしましたが、いかがだったでしょうか? iDeCoは、原則途中で解約したくてもできませんが、強制的に積み立てができることはメリットと考えて良いでしょう。受給できる時期まで使えないお金であることを理解したうえで、自身のライフプランに合わせて積み立てていくことが肝心です。
自分でライフプランを作ることが難しい場合、専門家であるファイナンシャルプランナーへ依頼することをお勧めします。なかでも商品販売をしない中立的なファイナンシャルプランナーは、相談者の立場に立って最適なリタイアメントプランを一緒に考えてくれます。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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