字画も少なく、しょっちゅう目にする簡単な漢字。読めそうなのに、いざ声に出して読もうとすると、正しく読めるかどうか心配になって、思わず声を細めてしまう漢字ってありませんか?
いったん思い込み認知をしておりますと、なかなかイニシャライズ(初期化)が難しいですよね。簡単な漢字であっても、脳トレ漢字の動画を見ながら確認学習をしていただくことで、思い込み認知をイニシャライズできる機会になると思います。
「脳トレ漢字」第103回は、「吹鳴」をご紹介します。サイレンや警笛などと一緒に使われることが多い言葉です。
また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「吹鳴」はなんと読む?
「吹鳴」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「吹く」と「鳴く」が組み合わさると……
正解は……
「すいめい」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「ふきならすこと。また、汽笛などを高く鳴らすこと」と説明されています。ブザーやサイレン、チャイム、汽笛など、大きな音を発するときに使われる言葉です。交通違反の一つである「警音器吹鳴義務違反」のように名詞として用いられたり、「サイレンを吹鳴する」のように動詞として用いられたりします。
「吹鳴」の漢字の由来とは?
「吹鳴」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「吹」は「口をとがらせて息をはき出すこと」を、「鳴」は「鳴らすこと」を意味しています。よって「“吹”いて、“鳴”らす」から「吹鳴」ということです。
「吹鳴」の「吹」は「すい」と読みます。「吹」を使った言葉で「吹聴(ふいちょう)」がありますが、こちらの言葉と混同して「すい」を「ふい」と読んでしまわないよう注意しましょう。「吹鳴」と同様に「吹」を「すい」と読む熟語としては「吹奏楽」が挙げられます。
また、「吹鳴」のように「鳴(めい)」が用いられている言葉には、「共鳴(きょうめい)」「雷鳴(らいめい)」などがあります。
「鳴く」ではなく「嗚く」とは?
「吹鳴」で用いる「鳴」の字は、訓読みで「鳴く(なく)」です。では、「嗚く」は何と読むでしょうか? 一見すると「なく」と読んでしまいそうですが、「鳴」とは少し違います。
正解は「なげく」です。よく見ると「鳴」と「嗚」は漢字が違います。「鳴」の右側は「鳥(とり)」で、「嗚」の右側はそれよりも横棒が一本少ない「烏(からす)」です。「嗚」の字は「嗚咽(おえつ)」という言葉で、目にする漢字なのではないでしょうか。
「鳴く(なく)」と「嗚く(なげく)」、線一本だけでも意味が大きく異なります。
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いかがでしたか? 今回の「吹鳴」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 漢字から意味は推察できても読み方に自信がないと、その言葉は使いづらいものです。記事を通じて、言葉の理解を深めていただければと思います。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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