ダイエット中は小腹が空いても間食を我慢することが多いもの。しかし、食べる内容や食べ方さえ気をつければ、間食は体にいい栄養素を補給する、最高の機会となるのです。
間食に高カカオチョコレートを食べるというシンプルなダイエット法で、4か月で24キロものダイエットに成功した医師・鈴木幹啓先生の著書『医師が教える最強の間食術』から、間食を利用し、効率的に痩せるダイエット法をご紹介します。
文/鈴木幹啓
糖質があるものが、必ずしも太りやすいものではない
カロリーが高いものや糖質があるものは太るというのは、当たり前のことで、確かに正しいのですが、すべてがそうだとはいい切れないと私は考えます。高カカオチョコレートのカロリーに関しては、次項で解説しますので、ここでは糖質についてお話ししていきます。
高カカオチョコレートには、確かに糖質は入っていますが、その量もさほど多くなく、食後血糖値の上昇を抑える食物繊維がたっぷり入っています。高カカオチョコレートは低GI食品。GI値で見れば、太りにくい食品なのです。ですから、安心して、高カカオチョコレートで糖質を補給してください。
適度な糖質はダイエットの成功に欠かせない
「糖質をわざわざ間食で補給する必要があるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ダイエットには適度な糖質は欠かせません。そもそも、あまいものをガマンしすぎてダイエットに失敗する人は、少なくないのではないでしょうか。
また、一度はやせても、結局、その後ドカ食いしてリバウンド。それまでの努力がムダになったという悲しい経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。それは意思ややる気の問題だけではなく、脳内のセロトニン不足が原因なことが多いのです。
あまいものを食べると、脳内から幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌され、脳内は幸福感に満たされます。逆に、あまいもの断ちでセロトニンが不足すると、脳は不安でいっぱいになり、ストレスにも弱くなった結果、ドカ食いに走るなんてことも。ダイエットに失敗しやすい悪循環に陥ってしまいます。
また、極度な食事制限により栄養のバランスが崩れて、必要なホルモンを作ることもできなくなり、セロトニン不足になるという危険性も考えられます。ガマンしすぎずに適度な糖質を楽しみ、心を安定させたほうが、ダイエット成功の近道になります。
カカオポリフェノールは、このセロトニンの分泌を増やす効果もあります。そのため、高カカオチョコレートで適度な糖質を摂るのは、賢い選択といえるのです。
注目は体内に吸収されにくいステアリン酸
「チョコレートは太る」という誤解の原因のひとつは、「カロリーが高い」こと。その理由は、チョコレートの原料であるカカオ豆に最も多く含まれる栄養素が「脂肪」だからでしょう。「脂肪=デブの素」。そう思うのも当然です。
しかし、カカオ豆に含まれる脂肪は、ほかの脂肪と比べ「体内に吸収されにくい」性質があります。これを聞けば、安心して毎日食べられるのではないでしょうか。
カカオ豆に含まれる脂肪を構成するのは、主に「パルミチン酸」「ステアリン酸」「オレイン酸」の3つの脂肪酸。このうちカカオ豆には、ステアリン酸がほかの食品より多く含まれています。
そして、このステアリン酸は体内に吸収されにくいという、チョコレート好きが歓喜する性質を持っているのです。吸収されにくいということは、エネルギー源にならず、体脂肪としてたくわえられない=太りにくい、ということです。
また、ステアリン酸、パルミチン酸のふたつの脂肪酸は、構造が安定している飽和脂肪酸。構造が不安定な不飽和脂肪酸は酸化しやすく、食品をダメにしやすいですが、飽和脂肪酸であるステアリン酸は変質しにくく、酸化しにくいのです。これが、チョコレートが長期保存できる理由でもあります。
これらの理由から、カカオ豆に含まれる脂肪は体脂肪になりにくいうえ、酸化して体を傷つけることのない脂肪といえます。チョコレートの脂肪は体に悪い脂肪ではなく、体にとって質のいい脂肪なのです。
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『医師が教える最強の間食術』鈴木幹啓 著
アスコム
鈴木幹啓(すずき・みきひろ)
日本小児科学会認定小児科専門医。すずきこどもクリニック院長。株式会社やさしさ代表取締役。株式会社オンラインドクター.com代表取締役。自治医科大学卒業。2010年、卒業しわずか9年で現在のクリニックを開業。和歌山県新宮市(人口約2万7000人)の地方都市にもかかわらず、1日200人近く診察し、日本一忙しい小児科医と称されるにいたる。診察に従事する傍ら「親・子・孫の三世代が集まれるような地域づくりをしたい」という思いから、2016年4月に、介護サービス付き高齢者住宅や子どもが遊べる公園、さらには商業施設がそろった「海賊公園スクエア」をオープンさせた。また、「患者ニーズを徹底的に追求する」ことを理念に掲げ、オンライン診察実施医療機関と患者をマッチングさせるオンライン診療システム、「イシャチョク」を運営している。