腰痛で病院に行っても「骨に異常なし」と診断され、湿布・痛み止めといった対症療法、あるいは「年齢のせい」といった対応をされる。この痛みを抱えたまま何年も過ごすしかないと、慢性腰痛に悩まされる多くの人が諦めてしまっているのではないでしょうか。

理学療法士で「痛み改善」のスペシャリスト・松田圭太さんによると、その考えは古いといいます。日々進化する医学によって、腰痛の原因の研究も進み、治療法もアップデートされています。

松田さんの著書『腰痛は医者には治せない:2人に1人が「筋肉」「関節」が原因!理学療法士の神ワザ治療』(小学館)では、病院(画像診断)では見つけられない腰痛の本質的な原因と、本気で完治を目指すための具体的なメソッドを提示。理学療法士として医療現場の最前線で患者と向き合い続けてきた松田さんの経験と、最新の医学的エビデンスに裏付けられた完治を目指す治療法が紹介されています。

そこで、今回は『腰痛は医者には治せない』から、松田さん考案の「MSMメソッド」の一部をご紹介します。始める前の心得と、注意点をよく読んで、試してみてください。

指導/松田圭太

運動療法「MSMメソッド」を実践してみよう

体の原理原則に基づいて確立した運動療法「MSMメソッド」の基本コースの一部をご紹介します。シンプルですが、意識が抜けると「ただの体操」になってしまうので、“ながら運動”はやめましょう。1つ1つの動きを確実に“弱い”と感じたところは入念に取り組んでください。今、腰が痛くない人も予防運動としておすすめします。

【実践の心得1】
1つの部位を「ゆるめる、鍛える、動かす」まで続けたほうが効果的。

M ゆるめて………頑張りすぎて硬くなった筋肉(過労筋)をゆるめる
S 鍛えて……使えていない筋肉(不労筋)を鍛える
M 体全体を動かす……再発しないように正しく体を動かす

【実践の心得2】
どの部位から運動してもOK、おすすめは体の土台の「足指」から。できる範囲で1日1回続けましょう。効果を最大化するなら1回でひと通りやることです。

【実践の心得3】
本来使いたい筋肉に痛みを感じるとき、違う動きで似たポーズに近づける「代償動作」はNGです。大事な動きには「効いているポイント」を記しました。

始める前の3つの注意点

●無理をしない、我慢をしない
「痛いけれど我慢してやる」は逆効果です。息切れや頭がぼーっとするなどの場合は、休憩をとって呼吸を整えながら行いましょう。気持ちよく、笑顔でできる範囲が目安です。

●運動中に呼吸を止めない(動かすときに息をはく)
力を入れるとつい息を止めてしまいがち。息を止めると血圧が上がり、体に負担がかかります。「息をはきながら動く」ことを意識して行いましょう。

●楽しく続ける
ポーズができなくても、「今の自分を知る時間」だととらえてみましょう。できないことがあるのは、これからできるようになる可能性があることです。成長を楽しみましょう。

こんな症状のある人は各専門家に相談の上、始めてください

※心疾患や呼吸器疾患のある人は、脈拍(心拍)の上がりすぎに注意。運動を始める前に脈拍数や血圧を確認した上で、無理のない範囲で進めてください。
※人工関節がある場合は、過度に腰を曲げると脱臼のリスクがあるので避けてください。
※人工股関節がある場合は、脱臼肢位に気をつけてください。

【準備運動】痛い場所=皮膚が硬いところを解消「はじまりスキンロール」

痛いところの筋膜組織は硬くなっている場合が多く、皮膚と筋膜組織の癒着をはがすことで体が目覚めて運動療法がやりやすくなります。

(1)痛い場所を探す→皮膚をつまむ(痛気持ちいいと感じる程度の強さ)

(2)つまんだまま、皮膚上をすべらせるように指を押してゆるめる(つかんだまま、揺らすようにして5秒程度動かしても)→痛気持ちいい場所や硬い部分を入念に動かす

足指【ゆるめる】これだけで腰痛が抜ける人もいる「あし指ぐるぐる」

足の指が使えていないと、歩くときに全身に無理な動きが出てしまう。硬く縮まった足指をほぐすことからスタート。

(1)回すほうの足を太ももにかけて、足首は太ももより外に出す
(2)足の指の間に、手の指を奥までしっかりと入れる
(3)足の甲を持ちながら、1回7秒ほどゆっくり回す
(4)10〜20周したら逆回しも行う

足指【鍛える】足の指を大きく動かせるように「あし指じゃんけん」

歩くときに地面をつかむことができるのは、足の指が動いてこそ。猫背で膝を曲げた歩行のクセ「ペンギン歩き」もこれで解消しましょう。

(1)かかとを地面につけて、座った状態でスタート
(2)足首は曲げて、足の先が天井を向くように意識(足首は内側・外側に向きすぎないように)
(3)指の部分を少し地面から離して、それぞれの動きを3〜10回程度行う

足指【動かす】ふくらはぎを鍛えて全身を支える「カーフレイズ」

ふくらはぎにある下腿三頭筋(かたいさんとうきん)は、歩く際に足を支える筋肉であり、この筋肉が使えるようになると膝や腰の負担が軽減されます。ふくらはぎの外側が硬くなれば、正しく効いた証拠!

(1)両足は足幅に開いてつま先はまっすぐ前を向いた状態で、壁から1.5足分離れて、壁に手をつけて立つ
(2)あごを引き、お尻を締め、菱形筋(りょうけいきん。背骨と肩甲骨の内側をつなぐ筋肉)を意識して下腹部に力を入れる
(3)足指はパーとグーを意識して地面をつかむ
(4)母趾球(ぼしきゅう。親指の付け根にある丸いふくらみ)にしっかりと体重をのせたまま、頭が天井に引っ張られるイメージで、かかとを最大限に引き上げて7秒キープ
(5)これを3〜10回程度繰り返す

イラスト/『腰痛は医者には治せない』より
※「MSMメソッド」は株式会社Medical Book Japanの登録商標です。

*  *  *

『腰痛は医者には治せない:2人に1人が「筋肉」「関節」が原因!理学療法士の神ワザ治療』
著者/松田圭太
小学館 1760円(税込)

松田圭太(まつだ・けいた)
理学療法士、整痛院ふっか総院長、慢性疼痛徒手技術「MSMメソッド(R)」指導者。
理学療法士として医療現場に長年携わった経験から、慢性腰痛・肩の痛みなど“3年以上続く痛み”に特化、運動療法と認知行動療法を組み合わせた「整痛院ふっか」を立ち上げる。医療機関や整体に通っても改善しなかった人が国内外から来院、のべ5万人を施術。さらに全国の医師・理学療法士・柔道整復師・整体師などの治療家が学ぶ慢性疼痛に特化した治療技術「MSMメソッド(R)」をのべ6万人に指導。科学的根拠(エビデンス)に基づいた運動療法と徒手療法を統合した独自アプローチは、整形外科クリニックのリハビリにも導入されている。自身が校長を務める、日本最大級の疼痛治療家コミュニティ「疼痛治療カレッジ」には4000名以上のプロの整体師・マッサージ師などが参加。治療家の間では「先生の先生」と呼ばれる。その医療福祉分野での活動が評価され、2025年「東久邇宮文化褒賞」を受賞。今春、初の著書『腰痛は医者には治せない』を上梓。株式会社Medical Book Japan代表。「MSMメソッド」は株式会社Medical Book Japanの登録商標です。

 

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