取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。【~その1~はコチラ】
今回お話を伺った七菜さん(仮名・39歳)は32歳のときに結婚、現在は旦那さまと子どもとの3人暮らし。旦那さまとの出会いは結婚パーティー。付き合った当初からお互いの結婚の意志を確認していて、専業主婦を望まれていることも最初から知っていたと言います。旦那さまの面倒だけど結婚向きなポイントとは他に「倹約家」なところと「食事のこだわりが強い」ところだったそう。
「倹約家は悪く言ったらケチですけど、夫の趣味は古本をたまに買ってきて家で読むだけなのでまぁ浮気の心配はないかなと。食事にこだわりが強いところも共働きだったら辛いかもしれませんが、専業主婦で家にちゃんと帰って来てくれる人だったら作りがいもあるから大丈夫だろうと思っていました。付き合っている頃から私の料理を美味しいと言ってくれていたから」
味付けの調味料にさえうるさい。そんな夫が気に入った外食先とは……
結婚して程なくして七菜さんは妊娠、翌年に女の子が誕生します。子どもが生まれる前からふつふつと溜まっていた不満が出産を機に爆発したと言います。
「妊娠中に体が辛いときもあったのに、出来合いのご飯を嫌がるのです。悪阻(つわり)で食べ物の匂いもダメだったと言っても、『言い訳なら聞きたくない』と言い放ち、その後も私に聞こえるように『1日何していたんだよ』とか『妊娠は女性が通る道だろうが』とか。そのときは言い返す気力もなくて、先に寝るとベッドで横になって声を殺して泣いていました。
でも、娘が生まれてからも子育ては何も手伝ってくれないし、料理をちゃんと作ったものであっても、めんつゆなどの調味料を使うのさえ嫌がるのです。『味が既製品と一緒になる』と。付き合っていた頃よりもこだわりはだいぶ酷くなっていました。
私は泣きながら自分でも何を言ったか覚えていないぐらい興奮して言い返し、夫はその場では謝罪してくれてはいたのですが、その場を取り繕うだけの謝罪でした」
その後、毎日帰宅だけは早かったという旦那さまは晩ご飯を食べて帰って来るように。最初は面倒を見ないといけない人が減ったことで嬉しかったそうですが、旦那さまが通っていたのは実家だったことが発覚します。
「夫の部屋にあった古本が減っていて、それを何気なく聞いたら、『読み終わったものは少しずつ実家に置いてきている』って、少しずつ? と思って詳しく聞くと、晩ご飯は自分の実家で食べているというのです。義両親から私に何かを言ってくることはなくて、普段の交流もなかったのでまったく気づかず、そのときには1か月以上が過ぎていました。きっと晩ご飯をロクに作らない嫁というレッテルを気づかないうちに貼られていると思いました」
【家が休まらない場所なのは私も同じ。次ページに続きます】