取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った七菜さん(仮名・39歳)は現在、旦那さまと子どもとの3人暮らし。結婚した32歳のときに旦那さまの希望により専業主婦になったと言いますが、その意思を受け入れたことを後悔しているとのこと。

「結婚のときに『家事や育児など家のことをしてほしい』と言われて仕事を辞めました。付き合った頃から専業主婦を希望されていることには気づいていたので自分の中でも納得していたのですが、求めるレベルがここまでとは……」

離れて暮らしてからのほうが家族仲は良くなった

七菜さんは栃木県出身で、両親と2歳上に姉のいる4人家族。普段ほとんど家にいない父親と一緒に過ごした記憶はあまり残っていないそう。そして、そんな父親の愚痴ばかり言う母親のことは嫌いではないけれど、一緒にいると疲れることが多かったと振り返ります。

「家族仲は悪くはないんです。別に自分の親のことを毒親だとも思いません。でも、近くにいると息苦しかった。距離が離れているほうがうまくいく関係だったのかなと今離れて暮らしているからそう思いますね。

父は仕事第一主義で、小さい頃は私が起きる前に出かけて寝てから帰ってくるような感じで、週末もあまりいた記憶がなくて。たまに家にいても、食事の後は自分の部屋に入ってしまうような人でした。母親はそんな父親への愚痴をいつも私たちに言っていて、そのことを鵜呑みにして『父親は家族のことが大事じゃないんだ、じゃあ私も嫌い』って思っていました。

年齢が進むに連れて、母親が常に誰かの悪口を言っている人なんだって気がつくんです。そのことに気がつくと、母親の話を聞くのが面倒になっていきました。一緒に住んでいた頃の最後のほうは、母親のことは大嫌いでしたね」

高校を卒業後、都内の大学に進学するために上京。そこから徐々に母親との関係は修復していったそうですが、今も帰省は4日までと決めているとか。

「それ以上いたら、疲れちゃうんです。4日間ぐらいなら笑顔で愚痴をスルーできるなって、今までの統計で思いました(苦笑)。それにそのぐらいだと一緒に暮らしていた頃は会話がなかった父親も私の存在に気がついてくれて、少しの会話が成立するようになりました。『元気にやっているのか?』みたいなものですけどね。

でも、短大を卒業後に実家を離れるつもりだった姉とは険悪になってしまいました。『私が家を出にくくなった』と言われて。姉は地元の人と結婚して実家から車で30分ぐらいのところに暮らしています。母親とは頻繁に連絡を取り合っているみたいなので、あっちの母娘関係はうまくいっているんだと思います」

【専業主婦になれなんて、甲斐性のある男性だと思った。次ページに続きます】

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