取材・文/ふじのあやこ
離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺ったさおりさん(仮名・43歳)は、30歳の時に付き合って半年の男性と結婚。結婚は妊娠をきっかけでしたが、入籍直前に流産を経験してしまいます。しかし、旦那さまはそのまま結婚の意志を告げてくれたと言います。
「本当に嬉しかったです。妊娠を伝えてからいなくなってしまうまで2週間ぐらいしかなくて、その後はずっと不安でした。私は夫のことを大好きだったから、子どもと未来の旦那の2人を失ってしまうんじゃないかなって。でも、夫はもう一度プロポーズをしてくれました。本当にこの人を選んだよかったと、あの時は思ったんです」
同居中不仲だった夫婦は、別居後に家族になれた
結婚して2年目に妊娠し、子どもを無事出産。しかしその時には夫婦関係は会話もない状態。子ども誕生でもその修復はかなわなかったそう。
「子どもができる前から夫婦関係は微妙で、相手のことをよく知らないうちに夫婦になったのがいけなかったのかな。小さな違和感が少しずつ少しずつ大きくなっていくのに、歩み寄る懐は持ち合わせていなくて。妊娠が発覚した時が夫婦仲のピークだったのかもしれません。
妊娠中は些細なことでもイライラして、情緒不安定で夫にすごく当たってしまって。子どもができてからは手伝うという姿勢を崩さないところに腹が立って、何をしてくれても『ありがとう』なんて言えてなかった気がします。もう顔を合わすと期待してしまうので、夫の存在を消したいとばかり思っていました」
その後は旦那さまが家を出るかたちで別居が始まります。一度は離婚の話もあがったそうですが、夫婦が選択したのは別居の継続でした。
「別居は結果論にはなりますが、夫婦仲というより家族仲は修復されていったから、継続となりました。別々に暮らしたことで子どもを挟んでの会話しかなくなったものの、夫婦としてではなく子どもの親としての役割だけを担うことができたんです。
最初は離婚に向けて話し合いを続けていたんですが、義両親が離婚になるなら子どもはこちらで預かると言い出して、私も子どもは絶対に渡したくなかったから平行線のまま、家族間の付き合いはどんどん険悪になっていきました。私自身も長くなる別居の結論って離婚しかないと思っていたから。でも、夫との話し合いで別居婚を2人の意志で選択できた時に気持ちは軽くなりましたね」
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