取材・文/池田充枝

愛玩動物のなかではトップクラスの人気者、猫。絵本にも猫がしばしば登場します。
有名な絵本作家からこれから活躍が期待される若手の絵本作家まで、みんなが主人公にしたくなる猫の魅力とは……。
絵本に登場する個性あふれる「猫」たちにフォーカスした展覧会が開かれています。(3月6日まで)

100%ORANGE『ねこのセーター』文溪堂 2016年
(学研プラス 2006年)

本展では、15組による絵本原画とその資料など約250点を展観します。
本展の見どころを、富山県美術館の学芸員・エデュケーターの瀧川織恵さんにうかがいました。

馬場のぼる『11ぴきのねこ ふくろのなか』
こぐま社 1982年

「今では人気シリーズ『11ぴきのねこ』でおなじみの馬場のぼるは、1950年代は手塚治虫と並ぶ人気漫画家でした。同シリーズはリトグラフという版画技法を応用して制作されています。これは、手作りの温かさ、濁りのない色彩を子どもたちに届けたいという出版社の願いから生まれた方法で、画家にとっては大変な作業ですが、馬場はそれを楽しんでいたといいます。

町田尚子『ネコヅメのよる』岩崎書店 2021年
(WAVE出版 2016年)

町田尚子の『ネコヅメのよる』は、町田が48歳のとき、原発事故で取り残された犬や猫たちへの給餌ボランティアに参加した夜に見た月をきっかけに描かれました。町田の作品には、さまざまな猫が登場しますが、ここでは原発被災地で実際に見た実在する猫たちのまなざしを捉えています。

石黒亜矢子『ばけねこ ぞろぞろ』
あかね書房 2015年

高校生の時から絵本作家が将来の夢だった石黒は、専門学校でデザインの勉強はしていたものの、絵は独学でした。妖怪や創造の生き物、動物をたびたび描き、絵本や装丁画、挿絵などをこれまで多く手掛けています。結婚と子育ての中、編集者とともに『おおきいねことちいさいねこ』を刊行し、以降、自宅で飼っている猫たちも絵本作品に登場しています。

その他にも本展にはいろんな猫が登場しています。会場でお待ちしています。」

人間模様いろいろなら猫模様もいろいろ、会場でお気に入りの猫を見つけてください。

牧野千穂 文・鳥飼耳『うきわねこ』
ブロンズ新社 2011年

【開催要項】
絵本原画ニャー! 猫が歩く絵本の世界 
会期:2022年1月29日(土)~3月6日(日)
会場:富山県美術館
住所:富山市木場町3-20
電話:076・431・2711
開館時間:9時30分から18時まで(入館は17時30分まで)
休館日:水曜日(ただし2月23日は開館)、2月24日(木)
https://tad-toyama.jp
料金:HP参照
アクセス:HP参照

取材・文/池田充枝

 

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