相当な巨漢だった西郷隆盛
維新の英傑として知られる西郷隆盛(1828-1877)は、東京・上野や鹿児島に立つ銅像からもわかるように、相当な巨漢だった。現存する西郷着用の軍服のサイズから割り出された西郷の身長は178cm、体重は108kgという。
西郷は若い頃から、アウトドア派だった。西郷の趣味のひとつがイカ釣りで、名人の域に達していたという。明治新政府に出仕するようになると体を使う機会が減り、西郷の肥満が進んだ。
ドイツ人医師から減量をすすめられる
西郷は、ドイツ人医師のホフマンから「このままでは命にかかわる」と減量をすすめられたことから、犬を連れて山野で狩猟をし、よく歩くようにつとめた。
1877年(明治10)に、西郷は西南戦争を起こすが、戦地でも常に犬を連れ、時間があれば散歩や狩猟をしていた。
後年、上野の銅像の除幕式の際、夫人の糸子は「うちの人はこんな人じゃなかった」と不満をもらしたという。
これは、容貌ではなく、絣の着流しで犬を連れている姿が気に入らなかったようだ。
夫人の本音は、陸軍元帥にふさわしい、瀟洒(しょうしゃ)な姿にしてほしかったのかもしれない。
文/内田和浩