長生きの世の中となった今、将来の資金作りをしていくうえで、資産運用は必須とも言われています。ところが多くの日本人は、資産運用が苦手とされています。なぜなら、正しい資産運用について、学ぶ機会がほとんどないからです。正しい知識を持たないままに投資に手を出して失敗し、もう二度と投資はするまいと苦い思いをしている方が多くいます。なぜ失敗をしてしまうのか? 失敗を避けるためにはどうしたらいいのか?
日本人の新しい働き方、新しい生き方をサポートしている、SMILELIFE projectのファイナンシャルプランナー・藤原未来が解説します。
目次
資産運用の失敗例
資産運用しないほうがいいと言われる理由
失敗しないための注意点
まとめ
資産運用の失敗例
資産運用を失敗してしまったという相談を受けることが多くなってきています。相談内容の一部を紹介します。
・ビットコインが1年で5倍に値上がりしたときいて、投資したら逆に大損した。
・銀行に勧められて退職金で投資信託を始めたが、元本割れして塩漬けになっている。
・一番安全な資産は「金」だときいて投資したら、安全どころか値下がりし続けている。
・ 友人が手軽に稼いでいると聞いてFXを始めたが、「追い証(追加証拠金)」がかさみ資金が枯渇した。
・ワンルーム投資で安定収入を得るはずだったのに、空室となり家賃が入ってこない。
これらの方は、期待とは程遠い結果になっていまい肩を落としているのです。
投資失敗すると地獄?
投資に失敗すると、悲惨な結果が待っています。投資の目的はお金を増やすことですが、元本割れをして大切な資産が目減りしている、これでは本末転倒です。損をして身動きが取れなくなってしまい、引き出して使うこともできずに、放置されるケースが多く見受けられます。
自分のお金なのに自由に使えず、凍結される状態は残念極まりない結果。さらに悲惨なのは、損を取り戻そうとして、さらに資金をつぎ込み、それも上手くいかずに傷を広げてしまうパターンです。
いったい自分は何をやっているのか、一生懸命に働いて貯めてきた大事なお金なのに。晴れて定年を迎えて手にした退職金で、老後を夫婦ふたりで楽しく暮らすための元手だったのに…。何と無駄なことをしてしまったのだろうか。取り返しのできない失敗をしてしまった自分を責めると同時に、家族に申し訳ないと落ち込み、精神的にも大きなダメージを受けるのです。
では、なぜ失敗をしてしまうのか? 失敗する人の傾向を見てみましょう。
資産運用しないほうがいいと言われる理由
資産運用を失敗する人には、似たような傾向があります。次に掲げる項目に該当する人は資産運用には向いていないと思われます。
資産運用に向いていない人の特徴
1.「資産運用の明確な目的がない」
資産運用は将来の資金作りのためにするのが基本。いつ何のための資金が必要なのかを決めてから始めるべきです。
2.「自分自身の投資可能額を把握していない」
自分の身の丈に合わない無理な投資が一番危険です。自分の投資可能額をしっかりと把握したうえで、その範囲内で投資してください。
3.「資産運用で儲けようと思っている」
これも危険です。資産運用はギャンブルではありません。儲け話に耳を傾けることは、やめましょう。
4.「資産運用のリスクについて説明することができない」
資産運用にはリスクがつきものです。リスクとは何かを理解せず、それをコントロールする方法を知らないのであれば、手を出してはいけません。
5.「資産運用はマーケットの動きを読む力が必要だと思っている」
株価などのマーケットの動きなど、先のことは誰にもわかりません。知りようがないことを予想して当てにいくことは、資産運用では必要ありません。
6.「人に勧められて始める」
よくある失敗です。人の勧めに盲目的に従うのは避けましょう。自分が理解しているかどうかが肝心です。「理解したつもり」は本当の理解ではありません。
7.「相場の上がり下がりに一喜一憂する」
資産運用では「感情」は排除しなければいけません。投資方針に基づいた機械的な作業であることを、理解しないうちは始めるべきではありません。
失敗しないための注意点
それでは、資産運用で失敗しないためには、どうしたらよいかについて考えましょう。
1.「儲け話ではない」
まずは、このことを徹底的に理解してください。儲け話には必ず落とし穴があります。「預金に置いておいてもお金は増えません。もっと利回りのよい商品でお金を増やしませんか? 今こんなに上がっていますよ。このチャンスを逃すともったいないですよ」。こんな誘い文句に耳を貸すと、知らず知らずのうちにその気にさせられます。仮想通貨でひと儲けしようなどという安易な考えは、根本的に間違っています。
2.「短期的な成果を求めない」
こちらも重要です。基本的に資産運用は将来の資金作りのためにするものです。時間をかけてしっかりと育てるという考えかたを持つべきです。長期投資の「長期」とは、一般的には10年以上の期間。「1年で2倍にしたい」というような短期的な欲望は捨てましょう。
3.「タイミングを観るものではない」
短期投資ではないので、タイミングを図る必要はありません。長期投資の効果はリスクの抑制です。世界経済のサイクルに合わせて、マーケットの良い時期と悪い時期を経験しながら、長期的に投資を続けます。そうすることにより、経済成長の果実を自分の資産に取り入れることが可能となります。タイミングを図るような難しいこと(確実ではないこと)をする必要はありません。
4.「理解できないものに手を出さない」
これが一番大切です。「よくわからないものには手を出すな」の教えです。暗闇を明かりなしで歩くようなものです。ぶつかったり、つまずいたり、崖から落ちたりする危険がゴロゴロしています。失敗するのも当然です。利回りだけではなく、リスクについてもしっかりと理解する。そしてリスクをコントロールする方法を知り、実際にコントロールしながら続けるもの。株価や為替や金利の動きが、自分の投資商品に対してどのように影響するかを、わかったうえで始めることが肝心なのです。
5.「人の言いなりにならない」
自分の大切な資産のことです。人の言うことを参考にすることは良いのですが、一方的に信じて決断するのは避けなければいけません。情報を冷静に分析して、理屈が通っているかどうかをきちんと確認してから、自分で判断するべきです。「感情に訴える話」や「根拠のない見通し」などに惑わされて始めると、期待外れの結果を招きます。お勧めの商品の販売手数料などが「相手の利益」になる場合は、とくに慎重に身構えて話を聞くべきです。
まとめ
皆さん、いかがでしたでしょうか。失敗しないための条件について理解できましたか? 資産運用は、時間と利回りを味方につけて、お金にも働いてもらいながら、将来の資金作りに役立てていくものです。そもそも、なぜ自分に資産運用が必要なのか。その目的をしっかり定めたうえで、始めることが肝心です。
そのためには、まずは将来のライフプランをしっかり組み立てることをおすすめします。商品販売をしない中立的なファイナンシャルプランナーは、相談者の立場に立って最適な資産運用を考えてくれます。
●構成・編集/内藤知夏(京都メディアライン HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/)
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com)