とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの? など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、個人差はありますが、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方の効果が期待できることをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい。どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問に漢方の専門家がお答えします。
第59回のテーマは、「だるい」です。医師の木村眞樹子さんに教えてもらいました。
1.休んでも解消できないだるさ。カフェイン頼りももう限界
秀子さん 42歳 女性会社員の方からご質問を頂きました。
「40代に入り子どももだいぶ手が離れ、仕事にまい進する日々を過ごしていました。しかし、だんだん原因不明のだるさを感じるようになりました。休んでも眠ってもだるさは解消しません。夫に相談したところ『栄養ドリンクを飲んでみたら?』とアドバイスされ飲むようになったものの、今度は毎日飲まないといられなくなりました。
だるさは一時的によくなる気がするのですが、カフェインのせいか胃の調子も悪くなり、仕事を休むことが増え、職場でも『秀子さんはあてにできない』とプロジェクトから外されてしまいました。このだるさの原因は一体どこにあるのでしょうか? 」
ご質問ありがとうございます。休んでも解消されない原因不明のだるさ、つらそうですね。そのだるさは、更年期症状が原因になっている場合があります。今回は、その原因と対策について解説していきます。
2.だるさの原因は更年期症状かも
40~50代にみられる「だるい」という状態は、更年期の代表的な症状のひとつです。この時期の女性は、閉経に向けて女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が乱れ、体と心に大きな負担がかかります。
エストロゲンが低下することで、自律神経に不調が生じます。すると、血行不良や臓器機能の低下、冷えやすくなるなど肉体的に変化が起こります。
さらに、ライフステージにおいて仕事や家庭などで大きな変化が訪れるのも、ちょうどこの年齢です。
子育ての負担が減ったり、夫が定年退職したり……。ご相談の秀子さんのように、会社で大きなプロジェクトを任されることも大きなプレッシャーになります。このような精神的ストレスはさらに更年期症状を悪化させます。
また、コーヒーや栄養ドリンクなどに常に頼っている状態は非常に危険です。カフェインを大量に摂るという方法は一時的に効果を感じるものの、常用すると効き目が鈍くなってきます。すると、カフェイン量が段々と増加し、依存性がさらに高まってしまいます。
また、カフェインは不安感を増幅させるという研究データもあり、ストレスが倍増して胃が荒れるなど、体と心の両面にダメージを与えます。
更年期症状のだるさは、カフェインに頼らず解決することが肝心です。では、簡単に行えるセルフケアをご紹介していきます。
3.更年期症状のだるさを解消する3つのセルフケア法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、下記のセルフケアや漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
3-1.入浴で血行不良を改善
疲れた体を十分癒やすため、お風呂に入るときはきちんと湯船にまで浸かりましょう。血行不良を改善すれば、生体リズムもだんだんと正しいものへと修正されていきます。
夏はシャワーのみという人も多いですが、10分ほどでも湯船に浸かることで体のモードが副交感神経に切り替わり、眠りにつきやすくなります。やや温めの38~40度が適切です。
お風呂タイムをより幸せなものにするには、アロマバスや炭酸浴もおすすめです。ジンジャーやローズマリーなど、疲労回復や冷えを改善する精油を湯船に4~5滴落とし、かき混ぜます。
就寝直前の入浴は避け、就寝の90分前、少なくとも60分前には入浴を済ませましょう。睡眠時間やリズムが整えば自然と生活スケジュールも健康的なものへと変わります。
3-2.周囲の人の理解を得る
更年期症状を乗り切るには、家族がつらさを理解し協力してくれることも大事です。パートナーの理解の有無によって、精神的な負担は大きく変化します。
更年期症状で重要なのは、からだの変化だけでなく心も変化するということです。精神的な支えを得ることで、ストレスが緩和され、イライラやパートナーとのささいなケンカなども少なくなるでしょう。
女性なら誰でも更年期は経験します。まずは、パートナーとともに女性外来に気軽に来院し、医師から話を聞いてみることから始めてみましょう。女性の体の仕組みや更年期について理解が進めば、接し方そのものが変わり、相手をいたわる気持ちが生まれます。
3-3.漢方でだるさの改善を目指す
「だるさを根本から改善したい」
「昔のように元気に過ごしたい」
「西洋薬よりも、自然由来のものがいい」
そんな場合には、医薬品として効果が認められている漢方薬という選択肢があります。
自然にある植物や鉱物などを複数組み合わせ作られている漢方薬は、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
漢方医学では心と体の生命エネルギーのバランスが乱れることで、疲労が起こると考えられています。
漢方薬は対症療法とは違い、体質の改善や症状の根本的な解決を目指しています。「何度もつらい症状を繰り返したくない」という悩みを抱える方の助け舟になってくれます。
「セルフケアでは限界を感じる」という方も、プロに選んでもらった漢方薬を毎日飲むだけなので、気軽に続けられます。
<更年期のだるさに悩む女性におすすめの漢方薬>
加味逍遥散(かみしょうようさん):虚弱体質や冷え性、月経不順、更年期症状に用いられる漢方薬です。不眠症などにも使われます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):肩こり、めまいのほか、更年期症状にともなって現れる精神不安や精神神経症状に処方されます。
漢方薬は正確な知識を持ったプロに選んでもらいましょう。体質によっては副作用が起こることもあり、逆効果になってしまう場合があります。漢方の知識を持っている医師や薬剤師は、症状に合った適切な漢方薬を処方してくれます。
「漢方薬は高価なイメージがある」という方には、医薬品の漢方薬が最適です。また、スマホなどで気軽に利用可能な「あんしん漢方」のようなサービスも注目されています。
AI(人工知能)を活用した「オンライン個別相談」サービスでは、体質に合った漢方を専門家が見極めて処方し、比較的リーズナブルな価格で購入できます。
4.だるさを改善して元気な毎日を
更年期症状にだるさはセルフケアや漢方薬で緩和できる場合があります。毎日規則正しくだるさを解消に努めながら元気に過ごし、さらに、周囲の理解を得ることによって心と体の両面をしっかりケアすることが大事です。
専門家に相談して適切な漢方薬を選択してもらうことで、体の内からつらい症状の改善が目指せます。元気な自分をとり戻して、健やかな毎日を送りましょう。
<この記事を書いた人>
医師 木村 眞樹子
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならない身体をつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットを活かしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行なっている。
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