渋沢史料館に渋沢栄一を訪れる
渋沢栄一に纏わる資料や遺品を旧邸内の所縁の遺構とともに紹介
渋沢栄一の生涯と活動を全体的に知るには、飛鳥山公園内にある渋沢史料館もお勧めだ。栄一の別荘だった「曖依村荘」の跡地にあり、開館は昭和57年。昨年11月にリニューアル・オープンしたばかりで、栄一の生涯にまつわる資料を展示するほか、コンサートや講演会などを開催している。
運営する渋沢栄一記念財団の前身は、明治19年(1886)に栄一の書生たちが結成した「竜門社」。いまも機関誌『青淵』を発行するなど、栄一の研究とその発信に努めている。
旧邸内には栄一の書庫だった青淵文庫と洋風茶室の晩香廬が保存されている。ともに重文で、栄一の思いに触れることができる。
新一万円札の顔・渋沢栄一を手にする
2024年度に一新される一万円札の顔は渋沢栄一に
渋沢栄一は初代の紙幣頭(後の印刷局長)を務めた。過去にも何度か紙幣の候補になったことがある。昭和38年(1963)の千円札発行のときは、最終選考に残ったが、伊藤博文に決まった。落選の理由は、栄一の肖像に偽造しにくい髭がなかったからだという。
かつて栄一の肖像を載せた紙幣があった。明治35年(1902)、栄一経営の第一銀行が、栄一の顔を載せた第一銀行券を当時の朝鮮半島で発行したのだ。
今回は渋沢のほかに、津田梅子の五千円札、北里柴三郎の千円札が発行される予定だ。
取材・文/田中昭三
※この記事は『サライ』本誌2021年2月号より転載しました。