歳を重ねるとは、実に味わい深いものです。この様な経験をしたことはないでしょうか? 遠い昔に、父母や師と仰ぐ人、あるいは人生の先輩から受けた言葉の“真の意味“を、今になって理解し悟ること…。人生を経て、経験を重ね、先人と同じ年齢に達して、初めて分かる事、見えてくる事が実に多い。
しかしながら、人生100年時代を迎え、これからを生きるサライ世代には、最早、厳しく諭し、誤りをただし、苦言を提してくれる者など居ない。残念なことに、老いれば老いるほど諫言(かんげん)してくれる部下や若者は少なくなるばかりです。さらには、己にその諫言を受け入れる柔軟さと度量があるのかも、甚だ自信がないのであります。
であるなら、先人が残してくれた言葉やエピソードに学ぶしか術は無いのではないでしょうか。人生100年時代を見据え、サライ世代に「心磨く名言」を贈りたい。
第一回目は、吉田松陰先生の数多くある名言から、サライ世代が改めて噛み締めてみたい名言を選んでみました。
人生100年時代「今からが、第二の人生だ!」と、一歩を踏み出しておられる方もいらっしゃるでしょう。
その時、これまでの人生と大きく異なることに気付いてしまうのではないでしょうか?
体力の衰え、機能の衰え、記憶の衰え。そして、喪った人のことに。
第二の人生を歩むためには、今まで以上に「人様の助け」が、どうしても必要であることを強く認識することでしょう。しかし、我が身を顧みれば長年連れ添った伴侶を喪っていたり、喪わないまでも何故か心が離れしまっていたり、愛情を注いだはずの子供たちとも疎遠になっている人もいるかもしれない。
さりとて、新しい出会い、新しい伴侶を得ることも至難の技である。
そんな時、吉田松陰先生のこの名言は、光明となるのではないだろうか? 是非、噛みしめてみていただきたい。
■吉田松陰の人生
ご存知の方も多いかと思いますが、吉田松陰は、幕末期長州藩の志士、思想家、教育者です。30年の短い生涯は、多難に満ちていました。
松陰の思想は、多くの書籍と恩師や友人から得たいろいろな考えを蓄積して、形成されたといいます。有名な「至誠留魂」の語にみられるように、「真心をもって事にあたれば、おのずから志を継ぐ者が現れ道は開けるものだ」という信念があったのでしょう。松陰の教育は、思想と実践の一体化していました。
この教育のなかから、高杉晋作 (たかすぎしんさく) 、久坂玄瑞 (くさかげんずい) 、伊藤博文 (いとうひろぶみ) 、山県有朋 (やまがたありとも) など、幕末維新期に活躍する門下生が育ったのです。
吉田松陰肖像画/もぱ
文・構成・アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
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