長引く新型コロナウイルスの影響により、多くの業界が経済的損失を受けています。
業績悪化ばかりではなく倒産の憂き目に遭う企業も多く、新型コロナウイルスの影響は新卒採用にも暗い影を落としています。
これまでの学生有利の売り手市場から一転して買い手市場となった業種もあり、学生に不利な就職活動の状況をみて「第二の就職氷河期」ともいわれるようになりました。
現在、就職活動をしている学生や新卒の方の中にも、自身のキャリア(進路)に対して不安を抱いているという方が多いのではないでしょうか。
安定した業界はどこなのか、コロナ禍でキャリアを築いていくためには何をすれば良いのでしょうか?
今回、JAGフィールド株式会社(https://www.jag-fld.com/)は、2019年、2020年卒の既卒者および2021年、2022年卒新卒予定者と前就職氷河期世代を対象に、第二の就職氷河期世代のキャリアに関する調査を実施しました。
【人気の志望業界Top3】志望業界を決める際に重視したポイントとは?
はじめに、2019年、2020年卒の既卒者および2021年、2022年卒新卒予定者に人気なのはどのような業界なのか伺っていきたいと思います。
「どのような業界を志望していますか?またはしていましたか?(上位3つまで)」と質問したところ、『IT・メディア(17.1%)』『医療・看護(16.7%)』『サービス(16.4%)』『官公庁・公社・団体(12.3%)』『金融(12.0%)』がTOP5を占める結果となりました。
これらの上位項目は、いずれもコロナ禍により先行きが見えない世相を反映したものなのかもしれません。
では、学生の皆さんはどのような点を重視してこれらの業界を志望したのでしょうか?
「志望業界を決める際に重視したポイントを教えてください(上位3つまで)」と質問したところ、『興味関心(38.4%)』『安定した需要や将来性(33.1%)』『職種の内容(32.5%)』『年収レンジの高さ(20.8%)』『専攻分野の活用(18.6%)』といった回答が上位に上がりました。
IT・メディア業界はコロナ禍の中にあっても成長を続けていく業界の一つでしょう。
しかし、サービスの移り変わりが激しいため、常にアンテナを張る意欲的な人材が求められる業界でもあります。
コロナ禍でも安定した需要や将来性で考えると思いつくのは医療や看護ですが、多様化するニーズに対応できるよう職種の内容といったことも重視しているのかもしれません。
専攻分野で活躍したいと思う方が8割以上いると判明!
大学には学部・学科を細分化した専攻という分野があります。
専攻分野は得意分野であり興味を持つ内容でもあるため、その分野を活かして将来活躍したいと思っている方も少なくはないでしょう。
そこで、専攻分野と進路についてどのように考えているのか伺ってみました。
「専攻分野へのキャリア(進路)についてどのように考えていますか?」と質問したところ、8割の方が『専攻分野で活躍したいと思う(40.5%)』『入口は違ってもいずれは専攻分野を目指したいと思う(39.0%)』と回答しました。
入口は違っていてもいずれは専攻分野を目指したいと思う方まで含めると、8割の方が専攻分野を目指すという結果となりました。
そのように思う具体的な理由を伺ってみました。
■専攻分野で活躍したい理由とは?
・専門的なことは学んでないと職に出来ないし大学4年間で学んだことを無駄にしたくないと思ったから(20代/群馬県)
・大学で医療を学び、薬学に関する専門知識を有しているため、それを活用したいから(20代/北海道)
・自分には他で頑張れる自信はないし、道を逸れるようなことはしたくない(20代/千葉県)
・専攻分野以外のキャリアに進むと、また新しく何かのスキルを身に付けなければならない。だから専攻分野で学んだことをキャリアに活かしたい(20代/福井県)
専攻分野で活躍したい理由としては、せっかく大学で身につけた知識や技術を無駄にしたくない、などが挙げられるようです。
違う分野で活躍したいという方にも、その理由を伺ってみました。
■違う分野で活躍したい理由とは?
・ひとつのことを詳しく知りたいけどそのためには広い範囲での知識も必要だと思うから(10代/東京都)
・自分が就活するときには航空業界は募集停止していると思われるので、何年後かに挑戦したいと思う(20代/北海道)
・専攻分野が本当に自分に向いているのかがわかるかもしれないし、他の事にも興味があるから(20代/大阪府)
・最終的には自分の目指している分野にいきたい。その過程を大事にしたい(20代/神奈川県)
違う分野で活躍したいという方は、新しいことにもチャレンジしたい・知識も広めたいというように、それぞれ理由があることがわかりました。
新型コロナウイルスの影響で自身のキャリアに変化が!?
では実際に、このコロナ禍で自分の進路を見直したという学生はどのくらいの割合でいるのでしょうか?
「新型コロナウイルスの影響で自分のキャリア(進路)を見直しましたか?」と質問したところ、4割近くの方が『見直した(39.4%)』と回答しました。
コロナ禍で進路を見直した、2019年~2021年卒(もしくは2022年卒)の方は少なくないようです。
では、なぜキャリア(進路)を見直したのでしょう。詳しく聞いてみました。
■新型コロナウイルスの影響でキャリア(進路)を見直した理由とは?
・新型コロナウイルスで職がなくなる人が多いため、潰れにくい企業にしようと思ったから(20代/東京都)
・中小企業でも良いと考えていたが、コロナで失業者が相次ぐ中、大手のほうが安定性に優れると思ったから(20代/東京都)
・コロナウイルスの影響で最初から躓いてしまったことと、対面での面接を求められた企業があって不信感があり、それから広くものを見るようにした(20代/東京都)
・今のままでは自分が志望する業界に入ることができない可能性があるので、他に自分に適した業界を探しているところ(20代/埼玉県)
リストラや倒産といったリスク回避のほか、自分に適している志望業界以外の業界への興味などの理由があるようです。
前就職氷河期世代が後悔した“就活のためにやっておけば良かった”と思うものとは?
ここまでの調査で、新型コロナウイルスの影響は就活中の学生の考え方にも大きな変化をもたらしているということが明らかになりました。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、会社説明会や合同面接会が中止になるなど、就職活動への影響も非常に大きなものとなりました。
これは1993年~2005年の間に就職活動をした世代、いわゆる「就職氷河期」の再来といえるかもしれません。
そこで、前就職氷河期世代の方々から就活に役立つアドバイスについて調査を行いました。
「就活のためにやっておけば良かったと思うものを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『資格取得(58.7%)』と回答した方が最も多く、次いで『語学勉強(留学を含む)(30.8%)』『人脈づくり(21.8%)』『自己分析(20.7%)』『業界研究(20.3%)』と続きました。
「手に職」というように履歴書に書けるような資格があると有利ですから、今のうちに勉強をしておくといった工夫が必要かもしれません。
そうはいっても就職がとても困難な時代がありました。
前就職氷河期世代の男女はその経験から何を学んだのでしょうか?
そこで、就職氷河期だったからこそ得られたと思うものを教えてもらいました。
■就職氷河期だったからこそ得られたものとは?
・失ったものの方が多すぎる気がするが、そこをしいて強がりで「得られたもの」と言うならば、正社員以外の様々な雇用形態で色々な職場を経験して、本当に数多くの色々な人と出会えたことだと思う(30代/静岡県)
・他の時期を体験したことがないから違いがわからないけど、同じ経験をした人たちとあの時は大変だったと語れるのは良いと思う(40代/愛知県)
・落ちても仕方ないという雰囲気だったので、当たって砕けろの精神で面接での度胸がついた(40代/東京都)
・高い競争率を勝ち抜いてきたという信念から、どんなことにもめげず、投げ出さず最後までやり遂げようとする強い意識が養えた(40代/香川県)
などの回答が寄せられました。
人と人との出会いや苦労、度胸や胆力といったものは、大変な時代を経験したからこそ得られる人生の貴重な財産だといえるかもしれません。
では最後に、そんな人生の先輩からコロナ禍で就職活動や転職活動をしている方へのアドバイスを伺いました。
■コロナ禍で就職活動や転職活動をしている方にエールを!
・大変な状況だとは思いますが、しっかり自分の事をアピールして最後まで諦めずに頑張ることが大事だと思います(30代/千葉県)
・たくさんの人が職を失ったりしている時だから、希望した職になかなかつけなかったりと将来に対する不安もあると思います。藁にもすがる気持ちだと思いますが、やらない後悔よりもやった後悔。自分の信じる道に向かって頑張ってください(30代/広島県)
・氷河期は全体がダメで大変だったが、コロナ禍は業績の良い企業もあるので、あきらめず頑張ってほしい(40代/茨城県)
・大企業だけみていると厳しいこともあるかもしれないけど、中小企業など他に目を向けてみると人が不足しているところも多いです。また、将来は独立するなどの可能性もありますので、こだわりを捨てて広い目でみるのも良いと思います(40代/福岡県)
などの回答が寄せられました。
コロナ禍によって倒産する企業もあれば、ピンチをチャンスに変えて業績を伸ばしている業種や企業もあります。
このことから、コロナ禍は見方によってはキャリアを再スタートさせるチャンスだといえるでしょう。
不況に強い安定したキャリアを手に入れられる、本当の成功を掴める時代が来ているのかもしれません。
氷河期世代からのアドバイスとは? 6割の方が手に職をつけた方が良いと回答!
今回の調査で、2019年、2020年卒の既卒者および2021年、2022年卒新卒予定者の志望業界が明らかになりました。
IT・メディアや医療・看護、そしてサービス業といった業界に人気があるようです。
また、それらの志望業界を決める際には興味関心や安定した需要、将来性といったものを重視しているようです。
しかし、新型コロナウイルスの影響で4割の方が自身のキャリアを見直しているということも明らかになりました。
その理由として、潰れにくい業界や大手企業といった安定性を求める方や、視野を広げてより自分に適した業界を求める方が多いこともわかりました。
1993年~2005年の間に就職活動をした前就職氷河期世代の方では、その約6割が資格を取得しておいたほうが良いと思っているようです。
就職で有利になるだけでなく、新型コロナウイルスの影響で将来の見通しが立てづらい今だからこそ、資格や手に職をつけるための勉強をするといった工夫も必要になってくるのではないでしょうか。
大企業を目指すのも悪くありませんが、大企業だからといってリストラや倒産しないという保障はありません。
就職活動をしている学生や新卒のみなさん、将来後悔しないためにも、このような事態が起こる可能性も考えて自身のキャリアを築いていってください!
調査概要:第二就職氷河期世代のキャリアに関する調査
【調査期間】2021年1月15日(金)~2021年1月17日(日)
【調査方法】インターネット調査
【調査人数】1,067人(2019年、2020年卒の既卒者および2021年
2022年卒新卒予定者:544人/前就職氷河期世代の男女:523人)
【調査対象】2019年、2020年卒の既卒者および2021年、2022年卒新卒予定者と前就職氷河期世代
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ