とにかくカッとなり声を荒立ててしまう、イライラした後に落込む、急に顔が熱くなる、汗が止まらない、どうしてこんなに頭が痛いの?など、30~40代の「プレ更年期」や、40~50代の「更年期」の女性には、自分ではどうにもならない不調が現れるもの。
実は、その不調には漢方がよく効くことをご存知でしたか?
私の不調にも漢方が効くのか知りたい!どうすれば根本解消できるの? そんな女性たちの疑問を、漢方の専門家に解説してもらいます。
第29回のテーマは、「眠気」です。あんしん漢方の顧問である、西大條 文一先生に教えてもらいました。
1.逃れられない猛烈な眠さ! 上司に呆れられ解雇
マキエさん 51歳女性、元会社員の方からご質問を頂きました。
「最近仕事を解雇されてしまいました。私が悩んでいたのは『眠気』。最近になり、不眠の症状が出てきました。しかも、昼間の集中しなければいけない時に限って、眠さでたまらなくなってしまうのです。眠れないというプレッシャーがさらに不眠を悪化させ、ますます眠れなくなります。
夜寝付けずに、そのまま朝を迎えてしまうこともしばしばありました。そして日中は眠くなり、上司の前であくびをしてしまうことも。不安定な世の中を反映して、うちの職場も以前からピリピリムードだったのですが、そんな最中に空気を読まずにサボっている奴と思われたのでしょうか…。
上司からは、まるで新入社員を叱るように、『みんな一生懸命頑張っているんだから、あなたも真面目に仕事をしたらどうなの!』と、呆れた顔で言われてしまいました。解雇理由も私の勤務態度がかなり影響したと思っています。私のこの不眠は何が原因なのでしょうか?」
ご質問ありがとうございます。不眠は周囲になかなか理解してもらえない症状なので、つらいですよね。ただ自己管理ができていない、ダメな人と思われてしまう不眠患者さんも数多くいらっしゃいます。
その不眠は更年期が理由かもしれません。更年期にさしかかると、なぜ不眠に悩まされるのか?それは、私たちのからだに起きる変化が影響しているのです。
2.不眠の原因は更年期?
更年期を迎えると、女性の心とからだには様々な変化が起こります。今回ご質問いただいた不眠も、更年期の多くの女性が持つ悩みのひとつ。ある調査では、「更年期を迎えた女性の4割は、睡眠時間が6時間以下」というデータもあります。
更年期に不眠になってしまう理由は、女性ホルモンの変化に伴う自律神経の乱れ、ストレスなどが考えられます。加齢なども不眠の原因になることもありますが、更年期の不眠は、女性特有の変化が原因となっていることが多いのです。
女性ホルモンであるエストロゲンは、睡眠の質とも深い関わりがあります。しかし、エストロゲンの分泌は、40代半ばあたりから急激に低下してしまいます。エストロゲンの低下は自律神経のバランスの乱れにも繋がるため、結果的に、エストロゲンが低下する更年期には様々なからだの不調が現れてくるのです。
3.しっかりとした睡眠をとるための3つの方法
更年期の不調の治療法のひとつに、ホルモン補充療法があります。
これは、不足しているエストロゲンを薬で補い、ホルモンバランスの乱れを和らげていく方法です。 効果もありますが、同時に副作用などのリスクもありますので、通院して治療する必要があります。
ホルモン療法は怖いという方や、通院する時間がないという方には、漢方の考え方によるアプローチがおすすめです。
ここからは、身近でできる養生法をご紹介します。以下に、更年期の不眠の症状を和らげるための対処法を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.寝起き時間を一定に保つ
からだの体内時計をしっかりと働かせることが、昼夜逆転を防ぐ、最も基本的な対処法です。とくに、朝に太陽の光を浴びることで、メラトニンという睡眠リズムを調整するホルモンを調整できるため、寝つきがよくなります。
また、就寝時間にこだわりすぎると、かえってストレスになる場合もありますので、まずは朝の光を浴び、起床時間を一定にすることから心がけてみましょう。
3-2.適度な運動を心がける
軽めの運動は、ほどよく心とからだをリラックスさせます。また、運動後の適度な疲労感は、心地よい睡眠をもたらしてくれます。
主婦の女性の運動には、買い物ついでのウォーキングがおすすめです。自分の足でしっかりと歩くことによる健康効果は計り知れないものがあり、運動を習慣化できれば、睡眠以外にも更年期の様々な症状を和らげることにもつながります。
3-3.食事を見直す
毎日の食事を見直すことも、更年期の症状を改善するためには大切です。
とくに、大豆に多く含まれるイソフラボンは、更年期に急激に減少してしまうエストロゲンと同様の働きをすることが知られているため、積極的に摂ることをおすすめします。
納豆やおから、豆腐など、大豆食品は比較的安価でもあり、食卓に並べやすい食材です。毎日の食卓に積極的に取り入れるようにしましょう。
3-4.漢方薬で不眠症状の改善をめざす
「夜は眠れず、日中に眠くなってしまう」
「不眠で生活にトラブルがある」
そんな不安をお持ちの方には、漢方薬がおすすめです。
寝入りが悪い、途中で起きてしまう、熟睡感がないなどの症状に、効果が認められている漢方薬は何種類もあります。
漢方は、人間のからだの営みに即した自然の摂理を利用した治療法です。
医薬品として効果と安全性が認められているほか、自然の生薬を組合せて作られているため、からだにやさしく作用します。また、漢方薬は、一般的に西洋薬よりも副作用が少ないといわれています。
そして漢方薬は、表面に出ている症状や苦痛を緩和する対症療法だけでなく、不調の原因となっている体質を改善することを目的に働くため、根本的な解決につながります。ですので、同じ症状を繰り返したくないという思いにも応えてくれます。
バランスの良い食事や適度な運動を実践するのは難しい…という場合も、漢方薬なら、ご自身の症状や体質に合うものを毎日飲むだけですので、無理せず継続できるでしょう。
以下に、不眠で悩む女性におすすめの漢方薬をご紹介します。
<不眠で悩む方におすすめの漢方薬>
不眠症や貧血、神経症の治療に使用される漢方薬です。血色の悪い方、虚弱体質の方に用いられます。
・加味逍遙散(かみしょうようさん)
更年期障害、月経痛、月経不順の方向けの漢方薬です。疲れやすさや肩が凝るなどの症状にも用いられます。
・酸棗仁湯(さんそうにんとう)
眠れない、精神不安などの症状の方に使われる漢方薬です。心身が疲れ弱っている方に用いられます。
ただ、漢方薬はその人の体質に合っていてこそ効果が現れるものです。体質に合っていないと、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。
自分に合う漢方薬を選ぶのはなかなか難しいものですが、最近ではA Iを利用した「あんしん漢方(オンラインA I漢方)」などのサービスも充実してきましたので、こうした専門的なサービスを利用するのもいいでしょう。
効果と安全性が認められている漢方薬を、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
4.不眠を解消して気持ちのいい目覚めを!
睡眠障害といっても様々な症状や原因がありますが、更年期が不眠の原因になるということは、意外に知られていません。つらい不眠も、きちんと対処を行えば必ず改善していけます。不眠解消のために、自分に合ったセルフケアを行いながら、今回紹介した漢方薬なども取り入れて、スッキリとした朝を迎えましょう。
<監修者>
漢方医 西大條 文一 (にしおおえだ ぶんいち)
金王坂クリニック院長、東方医学会会員、あんしん漢方顧問。古代から現代までの東西の医学史、医療史の研究をベースに、最新の免疫学、微生物学と漢方医学の知識を融合させた治療と臨床研究を行っている。
・金王坂クリニック オンライン外来: https://www.konnozakaclinic.com/service/online/
・あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0029
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