天平の美を蘇らせた、奈良「興福寺 中金堂」
“七転び八起き”で約300年ぶりに再建!
「青丹(あおに)よし 奈良の都は 咲く花の 薫(にお)うがごとく今盛りなり 」(万葉集巻三 小野老朝臣)
天平の歌人が讃えた平城京(奈良)の都、その中心にそびえていたのは、平城京遷都の和銅3年(710)に創建された「興福寺」です。中でも、その中心にあったお堂「中金堂(ちゅうこんどう)」は、壮大で美しい姿を誇っていました。中金堂は戦災や火事で7回焼失し、その都度再建されましたが、1717年の火災以降は仮堂でしのいできました。
その中金堂が、昨秋、なんと約300年ぶりに再建されました。再建された中金堂の規模は、東西37メートル、南北23メートル、高さ21メートル。ご本尊は1811年に造られた「釈迦如来坐像(しゃかにょらいざぞう)」で、その周りに国宝の「木造四天王立像」(13世紀)などが立ちます。1989年に就任した同寺の多川俊映貫首が、「天平文化空間の再構成」を掲げて再建を発願。98年の発掘調査から始まり、20年がかりで、創建時の基壇に当時の規模と様式で完成しました。
天平時代からの基壇の上に立つ66本の主柱は、はるか遠くアフリカのカメルーンから運んできた「アフリカケヤキ」などです。日本国内には、これだけの巨木がもはや無かったそうです。しかし、再建された中金堂は、典雅、端正、剛勁(ごうけい、力強さ)を特色とする「天平の文化空間」を見事に感じさせる空気感を持っています。そして、連子窓の青緑色と巨大な主柱の朱色という、その色の鮮やかなコントラストも見事です。まさに、古の奈良の都の壮麗な色彩を、彷彿とさせます。
奈良の枕言葉は「青丹よし」。その由来の一説として、奈良の寺社の建物を彩る『青』と『丹(朱色のこと)』から、つまり『奈良の都は青と丹色で美しく彩られている』からという話もあります。
まるで天平時代の姿に蘇った興福寺 中金堂。平成の世の最後の春に、ぜひ、桜が満開の頃に訪れてはいかがでしょうか?
中金堂落慶記念の特別講演会を東京で開催!
再建を果たした中金堂落慶を記念した特別講演会が、3月19日、東京都中央区の銀座ブロッサムで開催されます。中金堂再建計画を発願した多川俊映貫首ご自身が登壇。その歴史や同寺の魅力を、多川貫首と日本文学研究者のロバート キャンベル氏がそれぞれ講演します。
●開催日時
平成31年3月19日(火)、13時~16時(開場は12時)
●会場 銀座ブロッサム(東京都中央区銀座2の15の6)
●聴講料 1人1500円。
○申し込み方法の詳細はこちら
https://www.nara-np.co.jp/event/ev1812a.html
問い合わせ窓口 奈良新聞社東京支社「興福寺東京講演会」係
TEL 03(5565)0031
E-mail tokyo-event@nara-np.co.jp
主催:奈良新聞社
協賛:近鉄グループホールディングス、JR東海、小学館
○興福寺中金堂についてはこちら
http://nara.jr-central.co.jp/campaign/kofukuji2019/
○興福寺
奈良県奈良市登大路町48
http://www.kohfukuji.com/
0742-22-7755
拝観時間 9:00~17:00(入堂・入館は16:45まで)年中無休
※中金堂 単独拝観券
大人・大学生…500円 中高生…300円 小学生…100円