《5日目》越後川口~ 小出
越後川口駅からは、最新型のE129系電車に乗車。ボックスシート付の車内がありがたい。
10分あまりの乗車で、只見線への乗換駅・小出駅に到着。只見線の発車まで約3時間弱の待ち時間である。
小出の駅前はバスの発着が賑やかだ。実は只見線の途中駅に行くなら、バスの方がはるかに便利なくらいである。ただし只見まで抜けるバスはない。
小出駅の外壁には、尾瀬へのルートマップが掲げられていた。新潟側の入口としてシーズン中は駅前からバスが出るという。
もう一つ小出駅で発見したのが、木製の駅名看板。揮毫したのは俳優の渡辺謙さんであった。そして、彼が只見線沿線の出身だと知る。
乗り換えの時間を利用し、駅の周りを散歩してみる。
あわただしい乗り継ぎばかりだっただけに、こういう時間がありがたい。駅前にあるのはホテルが一軒と、地酒を並べた酒屋さんと駅前食堂、そして小さな美容室。じつは小出の中心街は、駅の裏側を流れる魚野川の対岸にある。町から見れば、駅は川の向こう。一番西のはずれに位置している。
食堂に入って新聞を眺める。今日の新聞は新潟日報。紙面にはサッカーのアルビレックスの呂比須監督の記事が大きく載っている。旅の初日が南日本新聞、そして熊本日日、中国、中日、信濃毎日、連日かわる地元紙の誌面も旅情である。
この食堂、かの宮脇俊三氏も旅の途中で訪れたということだった。
小出駅のホーム屋根には、何本もの避雷針のようなものが立っている。屋根の柱にしても装飾にしても不自然な物体である。気になって訪ねたところ、「アレは、雪下ろしの命綱を支える柱です」という意外な答えだった。
柱から柱へはチェーンが渡されており、雪の季節になるとそれを柱の頂上に持ち上げる。そのチェーンに命綱を取り付けて雪下ろしをするのだそうだ。屋根は頑丈に作られているから、雪を下ろさなくても壊れることはなさそうだが、線路の上に落ちると、そちらの方が危ない。飯山線から只見線に書けての豪雪はすさまじい。そしてそのぶん夏は水の恵みの豊かな里となる。
只見行きの列車は、学校の帰り時刻に合わせて17時10分発。ほかのホームも学生が増え始める。
16時53分、只見方面からディーゼルカーが到着した。