文・写真/佐竹敦

秋田県の男鹿半島は、奇祭として有名な『なまはげ祭り』をはじめとして、寒風山や入道崎などといった景勝地も枚挙に暇がないほどあり、全国的に名高い一大観光地です。

この男鹿半島には「マール」と呼ばれる、噴火後に地下水が火口を満たして形成された湖が3つあります。一ノ目潟、二ノ目潟、そして三ノ目潟です。

このうち、一ノ目潟と二ノ目潟については、高松宮殿下が命名されたという「八望台」という展望台から見ることができます。

「八望台」から見た一ノ目潟

「八望台」から見た二ノ目潟

ところが三ノ目潟については、この八望台から見ることができないばかりか、実はどこからもその姿を見ることができないのです。

道路地図などを見ても、三ノ目潟へと続く道は出ていません。実際に三ノ目潟湖畔についての情報は、皆無に等しいのです。

航空写真などでは三ノ目潟の姿を確認することができるので、存在していることは確かなのですが、なぜ地上のどこからも見えないのでしょうか?

実は江戸時代の紀行家である菅江真澄は、この三ノ目潟を訪ねたという記録を残しています。江戸時代の人が訪ねているというのに、現代人である我々が三ノ目潟に行くことができないというのは、なんともおかしな話です。

ということで、GPSと地形図を頼りに三ノ目潟の湖畔まで行ってみることにしました。

……のですが、やはり結局のところ湖畔へと降りていく道は存在していなかったため、道なき道を薮こぎに次ぐ薮こぎを強いられながらも、何とか三ノ目潟の湖畔へと降り立つことができました。

それでは男鹿半島のマール群の中で「最も透明度が高く」「最も美しい湖」とされる三ノ目潟の写真をとくとご覧下さい!

湖の中にある倒木がキレイに見ることができる透明度ですね!


湖面も実に美しいです!

日本にも「まだこんなところが残ってたのか!」と心から感動しました。

本邦初公開!? 三ノ目潟の動画もご覧ください。

この三ノ目潟は、男鹿半島のマール群の中で「最も透明度が高く」「最も美しい」とされている湖です。湖畔へと至る道はありませんので、湖畔に降り立つのは困難を極めますが、ひとたび湖畔に降り立てば、他に誰もいない静寂に包まれた神秘的で幻想的な空間と、眼前に広がるエメラルドグリーンの美しい湖を、心行くまで堪能することができます。

日本に残る正真正銘の秘境、三ノ目潟。健脚自慢の方であれば、しっかりと装備を調えたうえで、道なき道を歩いて目指してみてはいかがでしょうか。

文・写真/佐竹敦
日本全国の即身仏・一之宮・五重塔・三重塔・滝百選・棚田百選・国分寺跡をすべて訪ね歩いた一人旅の達人。テレビチャンピオン滝通選手権出場。主な著書に「この滝がすごい!」「日本の滝めぐり」等。テレビ東京の「厳選!いい宿ナビ」のコラム執筆、@nifty温泉の記事執筆等、ライターとしても各メディアで活躍中。

 

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