青森県黒石市、八甲田山中にある一軒宿、青荷温泉。ランプの宿として有名で、木造の趣ある佇まいが秘湯ムードを高めます。14年前から通年営業となり、雪見の露天風呂も楽しめます。通常の宿では決して体験することができないのが夕方のランプの配布。ランプ小屋で管理されているランプが運ばれて各部屋へ。ロビーや食事処にはたくさんのランプが掛かります。もちろん温泉もランプの灯りに包まれての入浴。どこか懐かしくあたたかな灯りは、せわしない日常を忘れさせてくれます。温泉は無色透明の単純温泉。総ヒバ造りの浴場や混浴の露天風呂(女性専用時間あり)などになみなみと湯が満ちています。ゆっくりと長湯ができるやさしいお湯です。
電気は最低限なので、コンセントもテレビもドライヤーもありません。携帯電話もつながらないという環境。風情を満喫できるという温泉好きに訪ねてほしいところです。
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。