「感じる旅 長野」のキャッチフレーズで観光推進を展開する長野県。上田と木曽、二つのエリアで、体験することで見えてくる新たな長野の魅力を3回にわたりご報告します。
第1回は、今年一番注目を集めた街・上田市です。NHK大河ドラマ「真田丸」の主人公・真田幸村の本拠地。街中には六文銭が描かれた真っ赤な幟旗がたなびきます。上田城から北国街道などを歩く約6㎞のノルディックウォーキングに挑戦しました。
■ノルディックウォーキングとは
ノルディックウォーキングとは、2本のポール(ストック)を持ち、歩くこと。約80年前にクロスカントリースキーチームの夏場のトレーニングとしてフィンランドで始まりました。2本のポール(ストック)を持って歩くことで、全身の筋肉をより刺激し、エネルギー消費量を増やすことができます。
また、ポールが足腰への負担を軽くしてくれるので疲れにくく、上半身もしっかり使うことで肩や首のコリを取り、肩甲骨の可動域を広げる効果もあるとのこと。
長距離でも楽に楽しく歩くことができ、ウォーキング以上、ランニング未満の運動で、まさにサライ世代向きのスポーツといえます。
まずはインストラクターの指導を受け、正しい歩き方を覚えます。背筋を伸ばし、少し遠くを見ながら、腕はリラックスです。アキレス腱を伸ばすなどの準備運動も入念に。早速スタートです。
■歴史ロマンあふれる上田城
上田城は天正11年(1583)、真田昌幸により築城。二度にわたり徳川軍を退けたことで知られています。南北の櫓と復元された櫓門などがあり城址公園として整備されています。
公園内には、2017年1月15日まで「信州上田真田丸大河ドラマ館」が設置され、10月末までで約80万人の来場者があったとのこと。喫茶や軽食ができる長屋風茶屋の「上田城真田屋敷」もあり、連日大賑わい。
本丸東虎口櫓門にある石垣には、真田石と呼ばれる直径3mの巨石が組み込まれ、格好の記念写真スポットになっています。
また、上田城三の丸内にある県立上田高校。ここは上田藩主屋敷跡に立ち、堀跡もめぐらされています。校門は表御門を継承していて、歴史を感じます。
上田城をあとに西北へ進み、国道18号方面へ向かいます。途中の常磐城という地区には土蔵造りの家が立ち並び、「歴史の散歩道」と指定され、趣ある佇まいが楽しめます。
国道18号はかつての北国街道に相当。のどかな風景のなかに、時折風格ある家並みも点在します。約400年の歴史を持つ上田紬の工房「小岩井紬工房」もあり、見学も可能です。
■謎だらけのおしぼりうどん!?
最終目的地は、信州味噌の老舗、新田醸造です。ここまであちこち見学しながら、周辺の風景を撮影しながら、ノルディックウォーキングを堪能。程よくおなかもすいてきました。
新田醸造は、「信州白樺印みそ」の銘柄で、良質の大豆と米を原料に昔ながらの味と製法を守っています。大正時代から使っている杉桶で1年以上熟成。熱処理をしていない生みそなので、風味がまろやか。直売店では味噌汁の試飲もできます。
昼食は新田醸造の2階の味噌蔵ホールで、おしぼりうどんを味わいます。「おしぼり」とは東信の坂城町などを中心に栽培されている辛味大根の絞り汁のこと。鼠のような形から、別名・ねずみ大根と呼ばれるこの大根、とにかく辛い、舌がしびれるようです。
これに味噌や鰹節、ネギなどを入れ、釜揚げうどんをつけて食べるのが、郷土食のおしぼりうどん。味噌を入れることで辛さの中にもこくが広がり、病みつきになる人、多々。二日酔い時には、胃がすっきりするとのことです。冬限定の味覚ですので、ぜひ味わってみてください。
今回紹介したノルディックウォーキングとおしぼりうどんをいただくコースは、12月1日~2017年3月31日(12月24日~1月5日を除く)の日曜・火曜・木曜実施。ひとり5500円です。
詳細は、VISIT長野県「感じる旅長野」のサイトをご覧ください。
感じる旅、長野の旅。次回は湯処・別所温泉で朝日のパワーをもらいます。お楽しみに!
取材・文/関屋淳子
桜と酒をこよなく愛する虎党。著書に『和歌・歌枕で巡る日本の景勝地』(ピエ・ブックス)、『ニッポンの産業遺産』(エイ出版)ほか。旅情報発信サイト「旅恋どっとこむ」(http://www.tabikoi.com)代表。