最初に手がけたのは女性用だった
国産ジーンズ発祥の地、岡山県倉敷市児島。瀬戸内海に面したこの地は、埋め立てにより塩分が多いことから米づくりに向かず、綿花の栽培が盛んに行なわれたことで繊維産業が発達した。
1960年代にアメリカ発のジーンズが日本で注目を集め、児島にも関連メーカーが次々と誕生。いまや児島を代表するジーンズメーカー「ベティスミス」の前身、大島被服もそのひとつ。代表取締役社長の大島康弘氏は語る。
「昭和37年の創業以来、学生服や作業着を作っていましたが、私の父がジーンズブームの到来を感じ、『次はこれを作ろう』と言い出したのが始まりです」
当初は大手ジーンズメーカーの受託生産を行なっていたが、昭和45年には、日本初のレディース専門ジーンズブランド「ベティスミス」が誕生。
「当時はレディース用ジーンズがなかったため、女性の体型に合うジーンズの開発を始めました。平成2年にはメンズ用も始め、商品ラインナップも充実していきました」(大島氏)
業界初のオーダーメイド生産開始
「若いころに大好きだったジーンズをもう一度はきたいが、現在の体形に合うものを作ってもらえないだろうか」
平成12年、ある男性客からの電話がきっかけで、オーダーメイドジーンズの製作が始まった。それが評判となり、「4年後にはオーダーメイドを開始、後に『デニムワークス』ブランドを立ち上げ、これまで延べ2万人の方から注文をいただきました。そこで集積されたパターン(型紙)を厳選し、マスターパターンとしてオリジナルジーンズにも採用しています」(大島氏)
カーブベルトで至高のはき心地
デニムワークスオリジナルの本品は、足首に向けて徐々に細くなるテーパードタイプ。ジャケットなどのきちんとした服装にも合う定番の形だ。
同社のジーンズ最大の魅力は、心地のよさと美しいシルエットに生地はヴィンテージものと同じ旧式力織機で作るセルビッチデニムを採用。それを裁断し、職人が手作業で縫製する。肉厚でありながら、柔らかな風合いとはき心地が気持ちよい仕上がりだ。
さらに特筆すべきは、腰まわりのフィット感を高めるカーブベルトである。
「ウエストに縫い付けるベルト(帯状の布)は一般的に直線ですが、それだとヒップの上部がたわんでしまいます。そこで、緩やかにカーブさせたベルトを独自開発しました」(大島氏)
現在は国内のみならず海外にもファンの多いデニムワークスのジーンズ。アメリカ産のコピーではなく、細部にまでこだわり尽くしたジャパンメイドは誰でも素敵に着こなせる一本だ。
【今日の逸品】
ヴィンテージ・セルビッチデニムパンツ
ベティスミス
14,300円~(消費税込み)