加賀百万石の華やかな文化の中で生まれた漆器や陶芸、絵画など数々の工芸品に輝きを与える「金沢箔」。伝統工芸を振興した加賀藩主前田家のもとで育まれ、脈々と受け継がれてきた金箔の技と、ヨーロッパの伝統的なレース編みが出会って生まれた新たな工芸品が、この「ゴールドノット」のループタイである。要の部分は実はレース。つまり布なのだ。
16世紀のイタリアで技法が確立したタティングレースは、シャトルと呼ばれる小さな糸巻きに巻いた絹糸で、結び目を作って多様な文様を編み上げたもの。これに、職人が手作業で金箔やプラチナ箔を貼っていくことで、繊細なデザインに上品な輝きをまとうジュエリーとなった。
「日本とヨーロッパの伝統工芸を融合するのは未知の世界でした。ゴールドノットは構想から製品化まで10年を要しました」と語るのはデザイナーの木和田里美氏。
気温や湿度にも仕上がりが左右され、そよ風にも舞うほど薄く軽い金箔は、扱いが難しく、徴妙で繊細な手技が求められる。職人が試行錯誤のうえにたどり着いた、金箔工芸の新境地である。
【今日の逸品】
金沢箔のループタイ
ゴールドノット
12,960円(消費税8%込み)