中華料理の名店がひしめく横浜・中華街で料理人たちから圧倒的な支持を集める中華鍋がある。製造を行なうのは、中華街に程近い福浦に工場を構える山田工業所だ。鍋の製造は金型で一気に成形するプレス方式が一般的だが、同社は日本で唯一、1枚の鉄板をハンマーが付いた特殊な機械で叩いて成形する「打出し製法」を採用している。ひとつの中華鍋を作るのに約5000回、サイズの大きいものでは8000回も鉄板を叩く。
「叩くことで鉄から不純物が叩き出されて鍋が軽くなり、密度は上がって頑丈になります。火のあたる底の部分は薄くするなど、厚みの変化もつけられます。優れた製法ですが、非常に手がかかるうえ、職人の腕も必要です。ほかでは真似できないわざでしょう」と、2代目社長の山田豊明氏は語る。
そんな、中華街の店舗の約8割が愛用する鍋と同じ製法で作ったのが本品。熱伝導率がよく素材に火が通りやすいうえ、丈夫で長持ち。ハンドルには熱を伝えにくいチタンを採用し、持ち手の過熱を防いだ。
鉄の鍋は直火で使っていくうちに外側に炭素が付いて火の通りがまろやかになる。また、油がなじめばこげにくくなっていく。ぜひこの名品を大事に使い込んで、育てていただきたい。
【今日の逸品】
鉄打出し炒め鍋「HANAKO」
山田工業所
12,960円~(消費税8%込み)