カリブ海やインド洋などの赤道近くの海に生息するタイマイというウミガメの甲羅を加工する鼈甲。その歴史は聖徳太子の時代から続くと言い伝えられるほど長い。鼈甲が最も栄えたのは江戸中期。西は長崎、東は江戸が中心で、特に江戸で栄えた鼈甲は伝統工芸品の江戸鼈甲として受け継がれてきた。
江戸鼈甲の特徴は、その厚みにある。花魁の髪飾りや帯留めから、次第に庶民の嫁入り道具などの実用品に用いられ、厚みを出す加工が主流となった。
「本品も厚みを誇る江戸鼈甲です。まるで一枚の甲羅から作られているように見えますが、じつは職人が甲羅一枚一枚を光にかざしながら模様を合わせ、何枚も甲羅を重ね合わせることで自然な模様を生み出しているのです」と語るのは、細工を手がけた石川べっ甲製作所7代目の石川浩太郎氏。
腕時計のベルト部分はもちろん、文字盤ケースの枠や文字盤の中心にまで鼈甲をはめ込んだ贅沢な仕上がりが高級感を醸し出す。種類は3種類。定番の鼈甲模様が好みなら茨布、肚甲などから取れる希少なアメ色を味わいたいなら白甲、格子柄のデザインを楽しみたいなら市松がおすすめだ。
【今日の逸品】
紳士用・鼈甲の腕時計
江戸鼈甲屋
176,000円~(消費税8%込み)