おりん作りで培った技術を活かした音響クラフト製品
富山県高岡市で明治22(1889)年に創業した「小泉製作所」は、同県の伝統的工芸として知られる高岡銅器の仏具を主力とする鋳造所。近年力を入れているのは、おりん作りで培った技術を活かした音響クラフト製品の企画開発だ。中でも注目は、日々の生活に自然と溶け込み、“音でおもてなしの心を伝えられるように”と開発された、このドアベルである。
音を出す構造は、「転動体」という特許技術にある。真鍮製のベルの下に備わる白い土台は浅いすり鉢状に設計され、そこにひとつの球がセットされている。その球が少しの振動でも転がり、ベルに優しく当たって柔らかな音を響かせるのだ。
「音色の調整もたいへん難しい作業です。金属の厚みが0.2mm異なるだけで音の響きがかなり変化してしまうので、厚みを調整する研磨の工程は熟練の職人が必ず手作業で細かく行っています。職人たちで何度も試作を繰り返しながら、軽やかで澄んだ音色が響くように仕上げました」と、開発に携わった同社の中島健太朗さんは自信をのぞかせる。
ころんと丸いフォルムのベルを、ナチュラルな木枠で囲った優しげなデザインも好印象。ドアを開けるたびに聞こえる安らぎの音色は、訪れる人はもちろん、住む人にも癒やしを与えてくれる。
【今日の逸品】
ドアベル「もりのね」
小泉製作所
16,500円(消費税込み)