我が国を代表する焼きもののひとつ、波佐見焼。遡ること約400年前、文禄・慶長の役に参加した大村藩初代藩主・大村善前が連れ帰った朝鮮の陶工・李祐慶らが、波佐見町に登り窯を築いたことからその歴史は始まった。その後、釉薬、窯焼きなどの作業工程をそれぞれの専門職が分業で行なう効率的な生産方法を確立。安価で質のよい日用食器は、庶民にも広く受け入れられた。特定の絵柄や形状にとらわれず、その時代の需要や背景に合わせて形を変える波佐見焼は、時代が移り変わってもなお多くの人に愛され続けている。
昭和46年に波佐見町で開窯した「敏彩窯」は、社長の小林晴敏氏を筆頭に“日常生活の中で自然と使いたくなる、楽しい食卓を演出する器づくり”が信条の工房だ。
「このおひつは、残ったご飯や冷めてしまったご飯を簡単においしく温め直せないか、という思いで考案しました。蓋の裏側は釉薬をかけず、焼き締めて吸水性を持たせることで、ご飯をレンジで加熱した際に発生する湯気を吸収します。そのため、ご飯がベタつかずにふっくらと温まります」と小林氏は自信をのぞかせる。
蓋は惣菜などをのせる平皿として使えるのもいい。風合い豊かな波佐見焼の質感も、いつもの食卓をランクアップさせるのにひと役買ってくれる。
【今日の逸品】
波佐見焼のおひつ2色セット
敏彩窯
8,360円(消費税込み)