資産形成

2019年6月に金融庁の報告書によって公表された試算結果によると、公的年金だけでは、65歳からの30年間で生活資金が約2,000万円不足する可能性があることが指摘されています。この、いわゆる“老後2,000万円問題”は、20代〜40代のビジネスパーソンの意識や行動にどのような影響を与えたのでしょうか。GMOあおぞらネット銀行株式会社が、人生100年時代を生き抜く現代のビジネスパーソン1,000名を対象に「老後資金」に関する調査を実施しています。それぞれの資産形成の状況を見ていきましょう。

■ビジネスパーソンの預貯金額は平均695万円、「100万円未満」が37%に

全国の20歳~49歳のビジネスパーソン1,000名(全回答者)に、現在の預貯金額を聞いたところ、「100万円未満」(27.7%)に回答が集まったほか、「300万円~500万円未満」(12.9%)や「500万円~1,000万円未満」(12.3%)などにも回答がみられ、平均額は695万円となりました。貯蓄が100万円に満たない人の割合は、36.5%でした。
平均額を年代別にみると、20代452万円、30代682万円、40代952万円でした。

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■資産運用を行っているビジネスパーソンは41%

続いて、全回答者(1,000名)に、現在行っている資産運用について聞きました。何らかの資産運用を行っている人の割合をみると41.0%となりました。
資産運用を行っている人の割合を男女・年代別にみると、高くなったのは40代男性(53.0%)、低くなったのは20代女性(28.9%)でした。若手ビジネスウーマンでは、他の層と比べて資産運用に取り組んでいる人が少ないようです。

資産形成

では、どのような資産運用をしている人が多いのでしょうか。資産運用を行っている人(410名)に、現在行っている資産運用について聞いたところ、1位「株式投資」(43.7%)、2位「投資信託」(35.6%)、3位「外貨預金」(28.3%)、4位「確定拠出年金(iDeCoなど)」(20.7%)、5位「FX」(12.0%)となりました。株式投資や投資信託を活用している人が多いようです。
男女・年代別にみると、「株式投資」では40代男性(55.7%)が最も高くなりました。

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■資産運用を行っているビジネスパーソンの保有資産額 平均額は1,200万円

資産運用を行っている人※(408名)に、保有している資産の合計額(不動産の金額は除く)を聞いたところ、「500万円~1,000万円未満」(18.1%)や「3,000万円以上」(15.7%)に回答が集まり、平均額は1,200万円となりました。
平均額を年代別にみると、20代764万円、30代1,280万円、40代1,428万円と、年代によって大きな差がみられる結果となりました。
※投資対象が不動産のみの人を除く

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■“老後2,000万円問題”の話題を見聞きしていたビジネスパーソンは84%

2019年6月に金融庁の報告書によって公表された試算結果によると、公的年金だけでは、65歳からの30年間で生活資金が約2,000万円不足する可能性があることが指摘されています。この、いわゆる“老後2,000万円問題”は、ビジネスパーソンの意識や行動にどのような影響を与えたのでしょうか。
まず、全回答者(1,000名)に、“老後2,000万円問題”の話題を見聞きしていたかを聞いたところ、「見聞きしていた」は83.8%となりました。“老後2,000万円問題”はニュースや新聞、情報番組等で大きく報じられたためか、多くのビジネスパーソンが見聞きしていたようです。年代別にみると、「見聞きしていた」は20代80.5%、30代82.3%、40代88.6%と、年代が上がるほど高くなりました。

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次に、老後の生活資金として2,000万円を貯めることができると思うか聞いたところ、「思う」は33.4%、「思わない」は66.6%でした。

 ■“老後2,000万円問題”で意識が変化? 「考えが変わった」ビジネスパーソンは54%、でも「行動した」のは22%

“老後2,000万円問題”の話題を見聞きした人(838名)に、“老後2,000万円問題”の話題を見聞きして老後の生活資金に対する考えが変わったか聞いたところ、「はい」は53.5%となりました。“老後2,000万円問題”の話題を見聞きした人の半数以上に、考えの変化があったようです。男女別にみると、「はい」は男性48.4%、女性58.1%で、女性のほうが高くなりました。
また、“老後2,000万円問題”の話題を見聞きして何か行動したか聞いたところ、「はい」は21.8%となりました。考えが変わった人は多いものの、具体的に行動した人は少ない結果となっています。
男女別にみると、「はい」は男性25.9%、女性18.1%と、女性のほうが低くなりました。老後の生活資金に対する意識の変化を感じつつも、なかなか具体的な行動に移せていない人は男性より女性に多いようです。

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■“老後2,000万円問題”について見聞きして行動したこと 1位は「収入を増やす手立てを考えた」

“老後2,000万円問題”の話題を見聞きして行動した人(183名)に、見聞きしてどのような行動をしたか聞いたところ、1位「収入を増やす手立てを考えた」(33.9%)、2位「支出を減らす手立てを考えた」(29.5%)、3位「資産を増やす手立てを考えた」(24.6%)、4位「ねんきん定期便を確認した」(23.5%)、5位「節約をはじめた」(23.0%)となりました。
男女別にみると、女性回答では「支出を減らす手立てを考えた」(41.8%)が1位となりました。女性は、“収入増”よりも“支出減”を重視して老後に向けた準備をしていこうと考えているようです。

資産形成

■老後の生活資金を作るための手段「定年後の就労」は78%、「副業」は66%が必要だと回答

ビジネスパーソンは、老後の生活資金を作るために、どのようなことが必要だと考えているのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、老後の生活資金を作るための方法を挙げ、それぞれについてどのくらい必要だと思うか聞きました。必要だと考えている人の割合(『必要(計)』:「非常に必要」と「どちらかといえば必要」の合計)をみると、【生活費の見直し】では79.4%、【定年後の就労】では77.8%、【共働き】では74.6%、【副業】では65.7%、【投資による資産運用】では63.0%となりました。ビジネスパーソンの多くが、老後の生活資金を準備するために、生活費の見直しや働き方の工夫が必要と考えているようです。

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■何歳まで働きたい? 男性の平均は66.7歳、女性の平均は64.9歳

ビジネスパーソンの多くが、老後の生活資金作りのために働く必要があると考えていることがわかりました。では、何歳くらいまで働きたいと考えているのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、何歳まで働きたいか聞いたところ、「60歳~64歳」(28.5%)や「65歳~69歳」(24.7%)に回答が集まり、平均年齢は65.8歳となりました。かつては60歳での定年退職が一般的でしたが、現在では65歳定年制を導入する企業が増えているほか、70歳まで働くことができるような環境作りも進められています。長く働きたいと思う人が希望どおり働ける環境作りが進められているためか、65歳を過ぎても働きたいと考える人は少なくないようです。 平均年齢を男女別にみると、男性は66.7歳、女性は64.9歳となりました。

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いかがでしたか? 「人生100年時代」に「老後2,000万円問題」と今の20代~40代には様々な課題が降りかかっていますが、それぞれ対策を考えているようです。社会の変化を見極めながら、柔軟に対応していきたいですね。

<調査概要>
■調査対象  :全国の20歳~49歳のビジネスパーソン(パート・アルバイトを除く)
■有効回答数 :1,000名(各年代ほぼ均等になるよう抽出)
■調査方法  :インターネットリサーチ
■調査期間  :2019年7月26日~7月29日(4日間)
■調査協力機関:ネットエイジア株式会社

 

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