文/鈴木珠美
普段、息を吸って吐く、呼吸を意識している人は少ないと思います。人は1日に約2万回呼吸を行っているといわれています。改めて考えると1日に2万回も行うことは呼吸の他にありませんよね。2万回のうち、意識的に深い呼吸を行う時間を作るだけでも体の内側が活性化してくる効果があるといわれています。
そもそも現代人は呼吸が浅くなりがちです。息を短く吸い、しっかりと息を吐かない状態が続くと活動時に働く交感神経が優位になり、自律神経のバランスが崩れやすくなるといわれています。さらに運転中は、自然と緊張している状態が続くのでますます呼吸が浅くなりやすくなる状況です。呼吸が浅い状態が続くと疲れやすくなったり、集中力が下がったり、酸素が充分に体に行き届かないので体のあちらこちらにコリも発生しやすくなります。
運転中、疲れを感じたとき、集中力が落ちたときに行いたいのが意識的に行う深呼吸。深い呼吸を繰り返すことで、酸素が体中を巡り、血の巡り、リンパの流れが良くなって体の内側からリフレッシュさせる効果が期待できます。
運転姿勢は体に負担がかかっています。首や肩、腰まわり、股関節まわり、脚など血の巡りが悪くなる姿勢です。またロングドライブでは1時間半に1度、休憩時間をとったほうがいいと言われていますが、これも理に適っていて、同じ姿勢から体を解放させることで、酸素や血の巡りを良くし、新鮮な集中力を取り戻そうというもの。
そこでここでは小休止に行いたい呼吸法をお届けしましょう。気分転換やリフレッシュしたいとき、集中力を取り戻したいときにもおすすめの呼吸法です。
体を目覚めさせたいときの呼吸法
足は腰幅に開き、手を胸の前で組んで手のひらを前に返します。鼻から大きく息を吸いながら手のひらを頭上に上げ、口から息を吐きながら指をほどき横から手を降ろします。これを3~5回繰り返します。
呼吸を深めるためのストレッチ
脚の付け根にある座骨を椅子の座面にしっかりと降ろして、背筋を伸ばします。鼻から息を吸って、息を吐きながら首を右に倒します。左手は体の横に置き、深めたい方は左手を体から離したり、右手を頭の上に置いて、肩から首にかけての筋肉を伸ばします。約20秒キープ。息を吸いながらアゴを引き、息を吐きながら右斜め前に頭を倒します。深めたい方は頭と対角線になる位置に左手を置きます。約20秒キープしたら、息を吸いながらアゴを引き、頭を真下に下げます。頭の重みで首の後ろを伸ばします。約20秒キープ。反対側も同様に行ったら、首を回します。右回し3回、左回し3回、回しましょう。
続いて胸まわりの筋肉をほぐします。運転姿勢は前傾姿勢が続く状態なので胸の前の筋肉が縮みやすくなります。胸の前の筋肉がかたくなると呼吸の入りが悪くなるので胸の前の筋肉をゆるめます。右手で脇の下の前方の筋肉を掴みます。左手は左肩に置き、肘を回します。なるべく肘を遠くに回すように意識して右手で掴んでいる手がゆるまないように気を付けながら回しましょう。5、6回、回したら、反対側も同様に行います。
ストレッチ後は大きく深呼吸!
両手を胸の下、ろっ骨に手を置きます。鼻から大きく息を吸って胸にたっぷりと息を入れて、いっぱいになったら鼻から吸った息の2倍以上かける意識をしながらゆっくりと息を吐きます。左右に広がったろっ骨が胸の下に収まり、お腹はぺちゃんこになるまで息をしっかりと吐き切ります。5~10回、繰り返しましょう。
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深い呼吸を繰り返すことで、体や心がほぐれていくことを感じられると思います。知らず知らずのうちに緊張した体がほぐれると、溜まった疲れが流れていきリラックス効果が期待できます。車で出かけたときは、定期的に休憩時間を設けて、体に瑞々しい酸素を取り入れて、疲れをリセット。新鮮な集中力を取り戻して安全に運転を楽しんでくださいね。
文・鈴木珠美
カーライフアドバイザー&ヨガ講師。出版社を経て車、健康な体と心を作るための企画編集執筆、ワークショップなどを行っている。女性のための車生活マガジン「beecar(ビーカー)https://www.beecar.jp/ 」運営。