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【夕刊サライ/川合俊一】バブル時代回顧録~お金がなくても遊べた(!?)六本木~(川合俊一の暮らし・家計コラム 第8回)

夕刊サライは本誌では読めないプレミアムエッセイを、月~金の毎夕17:00に更新しています。火曜日は「暮らし・家計」をテーマに、川合俊一さんが執筆します。

文/川合俊一

昨年あたりからでしょうか、当時のヒット曲がリバイバルするなど、バブル時代の出来事が話題になることが目立ってきました。僕は、大学を卒業したのが1985年で、その後、実業団のバレーボール選手になったので、20代の社会人生活は完全にバブル時代と重なっています。

今回は、いまとなっては考えられない当時のお話をしましょう。

バブルの頃は、遊びに行く場所といえば六本木のクラブでした。踊りに行く“クラブ”ではなく、女性が席についてくれる“クラブ”のほうです。社会人になったばかりの頃ですから、当然、自分のお金でそんな場所に行けるわけはなく、いろいろな会社の社長さんに連れて行ってもらったのです。

あるお店に通っているうちに、隣の席にいるお客さんから話しかけられたり、お店のママさんから別のお客さんを紹介されるようになり、どんどん知り合いが増えていきました。体が大きいので、どこにいても目立つんですよね。

おそらく、ママとお客さんとの間で、

「○○社長、あの子、今バレーボールでがんばっている川合君っていうの。あなたも応援してくれる」

「じゃあ、こっちのテーブルに連れてきて紹介してよ。」

なんていう会話が店内で交わされていたのだと思います。

そうすると、ひとつの店でもいろんな席で飲むことになり、会計は、もともとそこの席にいた人=大抵どこかの会社の社長さんが済ませてくれるので、自分で支払った記憶がありません。

友達とだけで行ったときでも、いざ支払いのときになると、お店のママさんが

「いらないわよ、あそこの席の社長にツケとくから大丈夫。ねっ、○○社長、いいでしょ」

なんて言ってくれて、払わなくても済んじゃいます。

そのうえ、そのお客さんが、

「お前の名前で、ボトル2、3本入れとくから」

と、おまけを付けてくれたりして。

もう、なんだかお金がありあまってる、という雰囲気が充満してましたね。

僕はよく、そういうお店で、知り合った社長さんなんかと株の話をしていました。あてになる情報もあれば、あてにならない情報もあって……。まあ、ほとんどがあてにならない情報なんですけどね(笑)。

バブルのころはもちろん現役のバレーボール選手だったわけですが、よく六本木に通ってましたね。そんな青春を送っていたから、僕は金銭感覚がおかしくなっているのかもしれません(笑)。

あと、六本木にクルマで来ている人も結構いて、

「いやー、酔っぱらっちゃったからさ、川合ちゃん、オレのクルマあげるから、運転して帰ってよ」

という人が、結構いたんです。セリフだけ聞くと冗談にしか思えないかもしれませんが、ほぼ本気で言ってるんですよね。しかも、ベンツとかBMWとかですよ。もちろん、僕も飲んでいるので、運転なんてできないと断ってましたけどね。

でも、実は、そのパターンでクルマを買ったことがあるんです。

飲んでいるときじゃなかったんですけど、

「ベンツの560SLをあげるよ」

と言ってくれる人がいて、さすがにタダはまずいだろうと、お金を出して、相場の半額の値段で買いました。

それが僕の人生2台目のクルマです。

ちなみに1台目は、この連載第2回でお話しましたように、初めての株式投資の利益で買ったのですが、シボレー『カマロ』でした。いかにもバブルって感じの話ですよね(笑)。

本当は『コルベット』が欲しかったんです。でも、試乗してみたら車内が窮屈で(笑)。それで、後部座席がある分、運転席のシートが目いっぱい後ろに下げられる『カマロ』にしました。まだ、全体的なデザインがゴツゴツしていて、いかにもアメ車という感じのタイプ。新車で買って、4年くらい乗りました。

お金を持っているよりタクシーを捕まえられる人が偉かった!?

そういえば、帰るときのタクシーがまた大変だったなあ。みんなタクシーで帰るから、六本木とかだと空車なんて1台も走っていないんですよ。

そこで、もうそろそろ帰ろうかなというときに、お店の人に、店の前までタクシーを呼んでもらうんだけど、この予約がなかなか取れない。

予約は、タクシー会社の配車係に電話をかけて取るわけですが、まず、話し中でつながりません。つながったらつながったで、1時間待ちとか2時間待ちはザラでした。で、結局、飲み続けたりして……(笑)。

とにかく、全然つながらないので、お店のスタッフは、営業時間の終了が近づいてくると、ずっと電話をかけ続けます。話し中だと、すぐに切ってまたかけ直すため、何十回もかけるハメになる。お客さんは何人もいるから、延々と100回以上かけることもザラです。

もはや、その人の仕事は「タクシーを予約すること」と言っていいくらい。

そんな状況なので、だんだん、その場で会計を済ませる人よりも、タクシーを呼べる人がいちばん偉い、みたいになってきます。お金を出す人はたくさんいるけど、タクシーを手早く呼べる人のほうがはるかに貴重なんですね。

実際、タクシー会社が公表している配車係の電話番号以外に、たぶんお得意様用だと思うんですけど、予約を取れる番号があって、それを知っている人がいたんですよね。ものすごく尊敬されていました。

店の人がタクシー会社に電話をかけまくる、あういった光景はもう2度と見られないでしょう。

いま、再びバブルの時代が注目されているのは、日本の景気がよくなってきていることが関係していると思いますが、当時の景気のよさとは比べものになりません。バブルにはネガティブな側面もありましたけど、それを含めて、貴重な体験ができた時代だったと思います。

前にもお話しましたが(連載第3回)、僕にとっては「楽しいことがいちばん、お金はその次」。お金に執着しない生き方・考え方は、この20代の体験が強く影響しているのでしょう。

文/川合俊一(かわい・しゅんいち)
昭和38年、新潟県生まれ。タレント・日本バレーボール協会理事。バレーボール選手としてオリンピック2大会に出場(ロサンゼルス、ソウル)。

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