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救えるのに救わないなんてできない!「わさびちゃんちの母さん」が猫の保護を続ける理由

外から保護されてきた子猫たちの面倒を見るゴールデンレトリーバーのぽんちゃんが園長先生を務める、「わさびちゃんちのぽんちゃん保育園」。これまで19期生53匹の子猫たちが飼い猫修行をしてきました。現在も、まだ里親の決まっていない17期生のせんす・うちわ兄妹が、ぽんちゃん保育園に滞在しています。

今回は、そのぽんちゃんの飼い主でもあるわさびちゃんちの母さんに話を聞きました。

猫の保護活動を続けるわさびちゃんちの父さん(左)と母さん(右)。

猫の保護活動を続けるわさびちゃんちの父さん(左)と母さん(右)。

――母さんは、わさびちゃん亡き後も保護活動を続けて多くの子猫に里親さんを見つけています。なぜそのような活動をされているのですか。

母さん:初めて保護したのはわさびでしたが、あの時はカラスに襲われているまさにその時だったので、緊急性もあり、とにかく助けようという一心でした。わさびが亡くなってしばらくして、ご近所さんから、野良の子猫が生まれて、飼ってくれる人がいないようなら保健所に連れていくと聞かされました。

保健所で殺処分されてしまうかもしれないと思うと、いても立ってもいられなくなり、すぐに駆け付け、一味(ぽんちゃん保育園2期生)を連れ帰りました。一味の兄弟のうち1匹はかなり衰弱しており見つけた人が飼ってくれることになっていましたし、もう1匹もその方のお友達が飼ってくれることに。

残る2匹をそのまま置いてきたのですが、心配になってうちに連れてきたのです。里親さんが見つからなくて保健所行きになるなら、自分たちで里親さんを探そう、と。

結果的に知人などのつてで、2匹の里親さんが見つかりました。この経験から、里親さんというのは、自分たちがその気になれば見つけられるのだということを知りました。

その後は、救う方法を知っているのに知らないふりなんてできない、という気持ちから自然に保護活動が始まりました。今でも一味の顔を見ると思うんです。外で生まれてもこうやって普通に家の中でのびのびと暮らせるチャンスがあるのに、手を差し伸べる人がいなければ、野良として過酷な外の世界で生きていかなければならなかったのだと。

あのまま知らないふりをしていたら、一味も外で大変な生活を強いられて、場合によっては事故や冬の寒さで命が絶えていたかもしれない。自分たちができる範囲のことであれば、保護したいと思うようになりました。

保護されて間もない頃の一味ちゃん。

保護されて間もない頃の一味ちゃん。

――里親探しは難しいといわれていますが、どのようなことに気をつけていますか。

母さん:特に気を付けていることは、やはり信頼関係を築けそうな相手に譲渡するということです。我が子を託す思いで譲渡しますし、譲渡後もコミュニケーションを取っていけるご家族がいいなと思っています。保護猫を譲渡することもペットショップで販売することも結局は、同じようにいかにアフターケアするかが大事なのではないかと思うんです。

譲り渡した後でその猫がどうなるのかわからないというのは、本来あってはならないことだと思うのです。家族に迎えたはずの猫を捨ててしまう人がいるのは事実で、そういうことを防ぐためにも、ちゃんとコミュニケーションを取っていける相手に託すことが譲渡する側の責任だと思うのです。

――ぽんちゃん保育園の卒園猫はたくさんいますが、どの子の里親さんとも連絡が取れていますか。

母さん:はい。里親さんになって下さった方とはみんな、連絡の頻度はそれぞれの家庭によって異なりますが、それでも定期的に状況を知らせてくれたり、困ったことがあれば相談してきてくれたりします。そうやってお互い助け合える関係でいられるので、このご家族に譲渡して良かったと思う方ばかりです。

――ご苦労はないですか。

母さん:病気を持っている子だったり、成長して大きくなってしまった子はなかなか里親さんが見つかりにくくて苦戦することがあります。

例えば、あわび(ぽんちゃん保育園11期生4兄妹のうちの1匹)は当初は他の兄弟同様、里親を募集していたのですが、トイレ以外のところでおしっこをしてしまう癖があったため、その癖が治るまで里親募集をしないでいたら、そのまま大きくなってしまいました。

おしっこ癖はなかなか侮れなくて、飼ったはいいもののそれが嫌で捨ててしまうという事例も聞いていますので、慎重になりました。でも、実はそれだけではなくて、何人か里親候補さんがいらしたのですが、条件がどうにも折り合わず、そうした方々とのやり取りに正直、非常に疲れてしまったのです。

それで、こんなことならあわびはうちの子として生涯大切に育てる、と思って正式にうちの子にしたのです。

なかなか譲渡がまとまらず、母猫にがりちゃん(右)と一緒にわさびちゃんちの正式な家族になったあわび(左)。

なかなか譲渡がまとまらず、母猫にがりちゃん(右)と一緒にわさびちゃんちの正式な家族になったあわび(左)。

――譲渡に関して特によく覚えているようなできごとはありますか。

母さん:もぐちゃん(7期生3姉妹のうちの1匹、保護名もめん)はひどい猫風邪をひいて目がただれて鼻が詰まった状態で保護。治療をしてすっかりキレイになるとすぐに譲渡が決まりました。でも、生まれた環境が劣悪だったこともあり、抱えていたのは風邪だけではありませんでした。皮膚が弱く、譲渡が決まってから次々と皮膚にトラブルが生じました。病院に何度も通い、治ってからようやく譲渡、というその日に、新しい引っかき傷が見つかったのです。痒くて自分でかいてしまうのですね。でも、先方は楽しみにしていろいろ買いそろえて準備して待ってくれていましたので、とりあえずお宅に連れて行きました。

事情を説明し、こういう状態でもしかしたら今後も治療が継続するかもしれないから、白紙に戻して頂いても結構です、とお伝えしたところ、家族に迎えると決めた子だし、その心構えがあるから大丈夫です、とおっしゃって下さいました。その言葉に涙が出るほど嬉しかったです。今、もめんちゃんは美猫ちゃんに成長し、先住猫さんと一緒に大切にされて幸せに暮らしています。

一味ちゃん兄妹の次に保護されたクロ(七味)、りん(ざらめ)、のこ(山椒)、ミロ(保護名抹茶)。

一味ちゃん兄妹の次に保護されたクロ(七味)、りん(ざらめ)、のこ(山椒)、ミロ(保護名抹茶)。

わさびちゃんちの1期生から19期生までの子猫たちと里親さんたちの様子は、『わさびちゃんちのぽんちゃん保育園』に詳細が綴られています。

文/一乗谷かおり

【参考図書】
『わさびちゃんちのぽんちゃん保育園』
(著/わさびちゃんファミリー、本体1,000円+税、小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09343443

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わさびちゃんにまつわるシリーズの第3弾『わさびちゃんちのぽんちゃん保育園』(小学館)

■わさびちゃんファミリー(わさびちゃんち)
カラスに襲われて瀕死の子猫「わさびちゃん」を救助した北海道在住の若い夫妻。ふたりの献身的な介護と深い愛情で次第に元気になっていったわさびちゃんの姿は、ネット界で話題に。その後、突然その短い生涯を終えた子猫わさびちゃんの感動の実話をつづった『ありがとう!わさびちゃん』(小学館刊)と、わさびちゃん亡き後、夫妻が保護した子猫の「一味ちゃん」の物語『わさびちゃんちの一味ちゃん』(小学館刊)は、日本中の愛猫家の心を震わせ、これまでにも多くの不幸な猫の保護活動に大きく貢献している。

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